読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

《寄稿》伊達淳さん(後半)

昨日の続き。 伊達さんの話を聞いていると、とても翻訳に対して謙虚で、調べ物やレジュメの書き方など、すごく丁寧なお仕事をされていることを感じました。ああ、もう少し自分も手をかけてやらないといけない、と反省しました。 奥様の故郷で、今、お住まい…

翻訳家、伊達淳さんと。

伊達さんとは昨日が初対面でした。お住いのある松江から、東京の出版社回りをするために上京されるというので、お会いしたのですが、とても初対面とは思えず、二時間半もの間、二人で翻訳にまつわる話をノンストップでしゃべりまくりました。楽しい時間でし…

コラム再録「原田勝の部屋」 第61回 翻訳は楽しい ── 最終回に寄せて

コラム「原田勝の部屋」の再録はこれでおしまいです。ただ、コラムそのものは、回によっては二度、三度と読んでいただいて役に立つものもあると思いますので、カテゴリーから遡って再読していただければ幸いです。 そもそもこのブログは、この再録のために始…

コラム再録「原田勝の部屋」 第60回 早いがえらい、か?

この回は、翻訳においては、仕事が早いのが必ずしもいいことではないのではないか、という、言い訳じみた論を展開しています。いや、早くてうまければ、それでいいんですが、早いとまずくなるので、仕方なく、遅くてもそこそこうまい、を目指さざるを得ない…

コラム再録「原田勝の部屋」 第59回 文体研究(5) ── 『ウェストール短編集』

この回でとりあげたロバート・ウェストールの短編集です。表紙は宮崎駿さん。いいですねえ。イングランドって感じです。 真夜中の電話 (児童書) 作者: ロバート・ウェストール,原田勝 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2014/08/08 メディア: 単行本 この商…

コラム再録「原田勝の部屋」 第58回 文体研究(4) ── ピエロを探せ

この回でとりあげた『王国の鍵2 地の底の火曜日』の表紙。革装風のカバーをはずすと、表紙は黄色です。デザインは永松大剛さん(BUFFALO.GYM)。このシリーズは、カバーをはずすと明るい色が出てきます。大好きなデザインです。 こちらは原書。二種類ありま…

コラム再録「原田勝の部屋」 第57回 文体研究(3) ── 『ザ・ブック・オブ・ザ・ダンカウ』

原書と訳書の表紙。原書はいかにも寓話的ですが、訳書はファンタジー的と言えるかもしれません。

コラム再録「原田勝の部屋」 第56回 襟を正す

『S先生のこと』(尾崎俊介著、新宿書房、2013) この回は、上のエッセイ『S先生のこと』と、映画『ドストエフスキーと愛に生きる』のことを書きました。どちらも翻訳に深く関わった作品です。では、どうぞ。

コラム再録「原田勝の部屋」 第55回 文体研究(2) ── 『雲母の光る道』

この回にとりあげた『雲母の光る道』の原作、"Mica Highway" の書影です。メンディングテープで補修してあるように見えますが、こういうデザインなんです。最初に見た時は、仮の表紙なのかと思いました。 翻訳版はこちら。 雲母の光る道 (創元推理文庫) 作者…

コラム再録「原田勝の部屋」 第54回 文体研究(1) ── 『フェリックスとゼルダ』

この回でとりあげた『フェリックスとゼルダ』の帯。 「史上最強の楽天家」というコピーは、使えそうで、なかなか使うのがむずかしい表現だと思います。これは版元のあすなろ書房さんが考えたものです。表紙のパステルグリーンの色使いもそうですが、ホロコー…

コラム再録「原田勝の部屋」 第53回 文体を考える

文体論はむずかしい。 訳文の文体は、日本語なのですから、そういう意味では翻訳者の文体なのですが、でも、原作者の文体の一部は日本語に移るところが面白い。 お断わりしておきますが、文体論なんて何ひとつ学んだことがないので、全部自己流による分析で…

コラム再録「原田勝の部屋」 第52回 至福の時

この回で触れたのは、『王国の鍵3、海に沈んだ水曜日』(ガース・ニクス作、主婦の友社)です。これ、カバーをはずすと、きれいな水色の表紙をしています。この水色のおかげで、電車の中で男の子が読んでいるのがこの本だと気づきました。

コラム再録「原田勝の部屋」 第51回 原音主義

固有名詞の表記はほんとうに悩ましい問題です。 今、翻訳中の小説は、山の話だということは、以前も触れましたが、まずは「エヴェレスト」か「エベレスト」か、で悩みます。「エベレスト」のほうが日本人にはなじみがありますよね。さて、どうしたものか。い…

コラム再録「原田勝の部屋」 第50回 読書会

この回でとりあげた『クラバート』。一度見たら忘れられない表紙ですね。 クラバート 作者: オトフリート=プロイスラー,ヘルベルト=ホルツィング,中村浩三 出版社/メーカー: 偕成社 発売日: 1980/05 メディア: 単行本 購入: 18人 クリック: 353回 この商品…

コラム再録「原田勝の部屋」 第49回 フランケンシュタインは怪物か?

素敵な表紙絵を描いてくださったのは浅野隆広さん、デザインは藤田知子さん。大好きな表紙です。 浅野さんは、時代小説の表紙をたくさん描いています。『獣の奏者』の表紙も浅野さんです。

コラム再録「原田勝の部屋」 第48回 翻訳の速度

クルム伊達さん、がんばってますよねえ。中年の星ですよ。公子スマイル健在、というか、若い頃より断然愛想いいし。何より、ほかにあんなテニスする選手いません。錦織くんもそう。ユニークなんですよ、テニスが。え? 翻訳と何の関係があるのかって? いや…

コラム再録「原田勝の部屋」 第47回 「役割語」という考え方

翻訳、とくに物語中のせりふの翻訳に関しては、この「役割語」という考え方は大変有用です。ステレオタイプと思われるかもしれませんが、ある意味、言語というのはステレオタイプであるがゆえに、意志の疎通が図れるのです。 ただ、金水さんのこの著書は、そ…

コラム再録「原田勝の部屋」 第46回 作家の精神

外国の作家さんの講演会は、そう頻繁にあるわけではありませんが、聴きにいくとなかなかおもしろく、刺激を受けます。今まで行ったのは、ダニエル・キース、ジェフリー・アーチャー、ショーン・タン、そして、この時のデイヴィッド・アーモンド。自分の訳書…

コラム再録「原田勝の部屋」 第45回 訳者の名前

意識して選んでいるわけではないのに、なんだか、ちょっと怖いイメージの本が多くなってしまうのが不思議です。下の4冊は、いずれもわたしの訳書の原書カバー。 一度、出来上がったばかりの訳書を、ある書店の児童書売り場の方に読んでもらおうと思ってもっ…

コラム再録「原田勝の部屋」 第44回 鉛筆と赤ペン

まとめ買いした「消せる赤ペン」も、だいぶ減ってきました。たくさん仕事をして、どんどん使いたいものですが、赤ペンが使われるということは、ワープロで訳文をこしらえた段階での完成度が低い、ということでもありますから、赤ペンの在庫は減らないほうが…

コラム再録「原田勝の部屋」 第43回 束見本(つかみほん)

物としての本に、大きな魅力を感じます。装幀は気になりますねえ。生まれ変わったら装幀家になりたい。 奇しくも、この回でとりあげた二冊の訳書、『大地のランナー』と『フェリックスとゼルダ』は、それぞれ、読書感想画と読書感想文の課題図書になり、多く…

コラム再録「原田勝の部屋」 第42回 文法の力

文法書では、これをよく参照しています。 ロイヤル英文法―徹底例解 作者: 綿貫陽,須貝猛敏,宮川幸久,高松尚弘 出版社/メーカー: 旺文社 発売日: 2000/11/11 メディア: 単行本 購入: 13人 クリック: 85回 この商品を含むブログ (62件) を見る 今も現役、江川…

コラム再録「原田勝の部屋」 第41回 原作者との交流

1999年に、ロバート・コーミア氏から届いたクリスマスカード。 メールやSNSの発達で、手紙や葉書のやりとりがなくなってしまったのはちょっぴり残念です。

コラム再録「原田勝の部屋」 第40回 翻訳世界旅行

この記事を書いたあとの訳書の舞台をたどっていくと、ジュネーブ(『フランケンシュタイン家の双子』、『フランケンシュタイン家の亡霊』)のあとは、イングランド北部(『ロバート・ウェストール短編集 真夜中の電話』)、公民権運動が盛んだったころのニュ…

コラム再録「原田勝の部屋」 第39回 "Little Princess"

『小公女』の話です。写真は左から川端康成・野上彰訳、原作、そして、高楼方子訳。 この文で書いたように、訳者が物語を「語る」ように訳すことは、今はなかなかむずかしいのですが、意識だけでも、そういうつもりで翻訳にとりくみたいものです。

コラム再録「原田勝の部屋」 第38回 歴史的現在 (その2) +『古王国記』続編情報

この回に引用した『王国の鍵7 復活の日曜日』は、シリーズ全7巻の最終巻です。左側に見えるのが、原書 "Lord Sunday"。作者ガース・ニクスの丁寧な作り込みが楽しめるファンタジーシリーズです。 ガース・ニクスについては、『古王国記』の続編はどうなっ…

コラム再録「原田勝の部屋」 第37回 歴史的現在 (その1)

加藤周一著、『日本文化における時間と空間』です。 日本文化における時間と空間 作者: 加藤周一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2007/03/27 メディア: 単行本 購入: 10人 クリック: 109回 この商品を含むブログ (19件) を見る こんなむつかしい本はふだ…

コラム再録「原田勝の部屋」 第36回 翻訳は芸術か? (その4)

大それたお題で、よくもこんなに長々と書いたものだと思いますが、この四回に書いたことは、自分で納得するために書いたようなものです。まあ、そういう言い方をすると、このコラムは、結局、自分のために書いていたようにも思いますが。 梅雨の晴れ間、部屋…

コラム再録「原田勝の部屋」 第35回 翻訳は芸術か? (その3)

この回で引用した、『ブック・オブ・ザ・ダンカウ』の表紙。 装画は、安田みつえさんです。宗教的な寓話とも言える動物ファンタジーである本書の雰囲気をよくとらえてくださっていて、大好きな表紙です。 『ブック・オブ・ザ・ダンカウ』(ウォルター・ワン…

コラム再録「原田勝の部屋」 第34回 翻訳は芸術か? (その2)

この回で引用した本です。作家の北村薫さんが、早稲田で教えた時の講義録を中心に構成されたものですが、読みやすくて、とてもためになり、刺激にもなります。北村さんの作品では、『スキップ』がおもしろかったなあ。 北村薫の創作表現講義―あなたを読む、…

コラム再録「原田勝の部屋」 第33回 翻訳は芸術か? (その1)

わたしが翻訳を学びはじめた1990年前後は、まだ、文芸翻訳という言葉が多く使われていて、文学の翻訳が強く意識されていたように思いますし、自分でも、純文学、推理、SF、児童書など、ジャンルはいろいろあっても、文学を翻訳するのが翻訳だと思っていまし…

コラム再録「原田勝の部屋」 第32回 ニヤリとしたこと

この回でとりあげた、『王国の鍵3 海に沈んだ水曜日』の原書表紙がこれです。シリーズの中でも、好きな巻、好きな表紙です。

コラム再録「原田勝の部屋」 第31回 本の力

東日本大震災からすでに4年の歳月が流れてしまいました。いや、まだ4年しか経っていないのに、わたしたちの記憶が風化していく速さに危機感をもつべきなのかもしれません。 本には、戦争や災害や事件を活字として記録にとどめ、再現し、あるいは別の形で評…

コラム再録「原田勝の部屋」 第30回 翻訳者の若書き

わたしの「若書き」ならぬ、「若訳」は、これ。 未知の生命体―UFO誘拐体験者たちの証言 (SECRET LIFE) 作者: デイヴィッド・M.ジェイコブズ,David Michael Jacobs,矢追純一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1994/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログ…

コラム再録「原田勝の部屋」 第29回 あとがきはだれのため

あとがきや訳注は不要だ、という考えもあると思います。 本というのは、それ一冊で完結しているわけではなく、ほかの本や辞書たちと相互に関係しあって知識の集積の一部を成していると考えれば、原作や原作者にまつわる情報は、その本の中になくてもいいの…

コラム再録「原田勝の部屋」 第28回 "healing" は「癒やし」か?

この回でとりあげた作品は『スピリットベアにふれた島』(ベン・マイケルセン作、鈴木出版、2010年)です。日本語版の表紙は以前、載せたことがありますから、今回は、原書の表紙を。 なかなかインパクトのある装画です。この場面、すごいんですよ。校正の時…

コラム再録「原田勝の部屋」 第27回 かな漢字のこと

かな漢字の選択はほんとうにむずかしい。個人によって感じ方がちがいますし、また、全編統一しようとすると、部分では奇妙な印象になったり……。 コラム中にも書いているように、わたしはこんな「かな漢字表」を作りながら翻訳作業をしています。

コラム再録「原田勝の部屋」 第26回 現場の力

この回は、はからずも、昨日の記事に書いた愛媛の工場でのことに触れています。 わたしがかつて勤めていたその重機械メーカーは、いろいろなものを作っていますが、当時は、これも作っていました。露天掘りの鉱山で発破をかけたあとの表土を取り除く巨大電動…

コラム再録「原田勝の部屋」 第25回 サッカーを訳す

いつもこのブログを読んでくださっている皆さんはご承知の通り、わたしは浦和レッズのサポーターです。応援しはじめてから18年め。シーズンチケットは16年めになります。 福田の「世界でいちばん悲しいVゴール」も、土橋の「昇格Vゴール」も、ゴール裏で見ま…

コラム再録「原田勝の部屋」 第24回 インチとセンチ

この回で例としてとりあげたのは、『王国の鍵4 戦場の木曜日』(ガース・ニクス作、主婦の友社、2010年)です。原書の表紙はこちら。23回では、シリーズ第1巻のハードカバー版の表紙を載せましたが、今度は、この第4巻のペーパーバック版を載せておきます。

コラム再録「原田勝の部屋」 第23回 very は「とても」か?

この回で題材にしたのは、『王国の鍵1 アーサーの月曜日』(ガース・ニクス作、主婦の友社、2009年)。原題は “The Keys to the Kingdom 1, Mr. Monday” です。原書の表紙がかっこいい。 全7作のシリーズですが、なかなか面白いですよ。買い揃えるのは大変…

コラム再録「原田勝の部屋」 第22回 出だしは力が入るもの

この回でとりあげたYA小説は、『スピリットベアにふれた島』(ベン・マイケルセン作、鈴木出版、2010年)です。原題は、"Touching Spirit Bear"。読書感想文の課題図書になったおかげで、たくさんの中学生に読んでもらうことができました。 この装幀、大好き…

コラム再録「原田勝の部屋」 第21回 タイトルはだれが決める

最新刊『ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯』のタイトルは、けっこう考えましたねえ。原書タイトルは、"No Crystal Stair"。これは、作中に引用されている、ラングストン・ヒューズの詩、"Mother to Son"の一節です。 最初はこれをそのまま、『水晶…

コラム再録「原田勝の部屋」 第20回 紆余曲折

訳しはじめた本が、出版できなくなるかもしれない、というのは、案外、翻訳者は経験していることなのかもしれません。この回は、そんなわたしの訳書のことを書きました。 わたしの知らない母 作者: ハリエット・スコットチェスマン,Harriet Scott Chessman,…

コラム再録「原田勝の部屋」 第19回 第二外国語

第二外国語、に遭遇したのは、大学に入った時でした。昔は、よくあったと思うのですが、今時の大学はどうなんでしょうか? たまに母校の東京外国語大学へ行くと、さまざまな言語を専攻している後輩たちが生き生きと学生生活を送り、留学へと出かけ、また帰っ…

コラム再録「原田勝の部屋」 第18回 リーディングのディテール(その3)

だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ 作者: 都築響一 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2008/02/28 メディア: 単行本 購入: 9人 クリック: 143回 この商品を含むブログ (57件) を見る 都築響一さんの、この本、本文中にもとりあげましたが、…

コラム再録「原田勝の部屋」 第17回 リーディングのディテール(その2)

この回は、読んだ原書の内容をレジュメに書く時の注意点をまとめています。その中で、「一ページ千二百字程度を縦書きで、あらすじ三、四ページ、感想二ページ程度に」と書いていますが、今は、少し変えていて、横書きで、タイトル(直訳と日本語仮題)と作…

コラム再録「原田勝の部屋」 第16回 リーディングのディテール(その1)

リーディングとは、原書を読んで作品を評価し、それを報告、あるいはアピールするためのレジュメにまとめる作業のこと。出版社から依頼されて行なう場合と、自ら企画をもちこむために行なう場合があります。 いろいろなやり方があると思いますが、わたしなり…

コラム再録「原田勝の部屋」 《インタビュー》第3回 後半 ── 東京創元社編集部 小林甘奈さん・宮澤正之さん

東京創元社は、ヤングアダルト作品も出版してくれていますが、英米ではYAとして出ていても、中身がSFやファンタジー、ホラー、などであれば、一般向けとして出すこともあります。 拙訳のこの連作もそう。もとはカナダの作家、ケネス・オッペルのYAものです。…

コラム再録「原田勝の部屋」 《インタビュー》第3回 前半 ── 東京創元社編集部 小林甘奈さん・宮澤正之さん

話の中に出てくる、バローズの『火星のプリンセス』。『本の雑誌』最新5月号に、厚木先生がこれを翻訳出版するに至った経緯が載っていました。この素晴らしい表紙絵のことも触れられています。 厚木先生には、バベル翻訳学院で半年間教えてもらいました。エ…