翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

コラム再録「原田勝の部屋」

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第59回 文体研究(5) ── 『ウェストール短編集』

★さて、文体をとりあげた最後の回ですが、原作者の文体と翻訳者の文体について少しふれています。翻訳者の場合は文体なのか、テクニックなのか、微妙なところですね。さらに、編集者さんの関与のことも……。(2017年09月19日「再」再録)★ ーーーーーーーーー…

コラム再録「原田勝の部屋」 第58回 文体研究(4) ── ピエロを探せ

★登場人物のバリエーションには、やはり作者の意図がこめられているはずです。中でも、三枚目の脇役は、そうとわかってせりふの処理をしないといけません。浮いちゃいけないけれど、目立たなきゃいけない。(2017年09月18日「再」再録)★ ーーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第57回 文体研究(3) ── 『ザ・ブック・オブ・ザ・ダンカウ』

★英語の narrative は、「物語」でもあり、「語り口」「語りの」といった意味をもちます。narrate、narration と同根ですね。そう「書く、訳す」ではなく、「語る」のです。(2017年09月17日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

コラム再録「原田勝の部屋」 第55回 文体研究(2) ── 『雲母の光る道』

★この作品は、修飾語が多めの、どちらかというと「濃い」文体です。それが、少し昔のアメリカ南部という作品世界をよく表わしています。(2017年09月13日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この回にとりあげた『雲母の光る道』の原…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第54回 文体研究(1) ── 『フェリックスとゼルダ』

★作者(=翻訳者)と物語や登場人物との距離を、原文に沿って、あるいは原文の意図をくんで、近づけたり遠ざけたりすることが、文体を決めるひとつの要素ではないかと思います。(2017年09月11日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第53回 文体を考える

★文章の内容だけでなく、文体という得体のしれないものが、翻訳という行為を通じてなお読者に伝わる不思議。いや、伝わるのか? というお話です。(2017年09月10日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 文体論はむずかしい。 訳文の文体は、日…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第51回 原音主義

★欧米の人は、名前や地名の読み方にさほどこだわりがないようで、作者から「好きに読んでくれ」なんていう返事が帰ってくることもしばしば。日本人がこれほど名前の発音にこだわるのも、日本語のカタカナが表音文字だから。文字にしてしまうと読み方が一通り…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第47回 「役割語」という考え方

★「役割語」、とても大切な考え方です。一方で、あえて役割語を使わないことも、作品の質を高めるのにとても大切だとわかります。いやあ、言葉はおもしろい。(2017年09月05日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 翻…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第46回 作家の精神

★この後、訳書の原作者としては、『エベレスト・ファイル』の原作者、マット・ディキンソンさんにお会いすることができました。こうして作家の話を聞くと、ああ、やっぱり自分は作家にはなれないなあ、と思うのです。(2017年09月04日「再」再録)★ ーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第43回 束見本(つかみほん)

★この回では装幀のことをとりあげています。ブックデザインですね。判型、表紙、カバー、イラスト、紙、フォント、挿絵、レイアウト……。装幀によって、本はたぶんまったくちがった「もの」になります。今、訳している本は、なんと活字が緑色! 日本語版はど…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第42回 文法の力

★文法は、意味を正確に把握するための助け船みたいなもの。大学受験の参考書にはイディオムや構文の説明も載っているし、ホントに為になります。見たくない、という気持ちはわかるけど、ぜひ!(2017年09月01日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第39回 "Little Princess"

★『小公女』大好きでした。この回でふれた古典児童書を読む会は今も続いていて、次回の課題本は『若草物語』です。4人の中では、ジョーが一番好きでした。『若草物語』もいろいろな訳者が訳していて、その違いも楽しむことができます。ただ、今の子どもたち…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第38回 歴史的現在 (その2)

★この回では、日本語の語尾のいわゆる過去形・現在形に、読者や視点人物と、描写対象とのさまざまな距離感を調節する役割があることを説明しています。意識せずにこうした操作をしていることがほとんどですが、言われてみるとおもしろい現象です。(2017年08…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第37回 歴史的現在 (その1)

★結局、この回で言いたいことは、文末の処理の話。リズム感やスピード感の操作、あるいは人物の性別、年齢、あるいは性格の表現まで、文末は多岐にわたる役割を負っています。(2017年08月27日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第36回 翻訳は芸術か? (その4)

★文芸翻訳はやはり「表現」活動だと思います。「作業」だと思ったらおしまい。能動的な芸術活動だと考えた方がいい。(2017年08月27日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 大それたお題で、よくもこんなに長々と書いたものだと思いますが、…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第35回 翻訳は芸術か? (その3)

★翻訳をする時、あるいは翻訳学習において、あるべきひとつの正解にむかって日本語を考えるのではなく、自分なりに表現しようとすることが大事ではないでしょうか。「模範解答」なんてない、と思ったほうがいい。(2017年08月26日「再」再録)★ ーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第34回 翻訳は芸術か? (その2)

★文学は、いや文章は、平面上に記された文字という記号の連続で、よほどの速読術の達人でない限り、読者は一文字ずつ、順にたどっていくことしかできません。つまり、絵画や彫刻といった空間を占める芸術とちがって、文学は読者の「読む」という行為によって…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第33回 翻訳は芸術か? (その1)

★大上段にふりかぶったタイトルですが、一度は考えておくべき問題ではないかと思います。「文芸翻訳」は、「文学翻訳」と言ってもいいかもしれません。自意識過剰だと言われるかもしれませんが、フィクションを翻訳する時、当然、自分は文学に携わっているの…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第27回 かな漢字のこと

★表記にこだわるわけは、最初に編集者さんに訳稿を出す時に、できればそのまま本にしてもいい形にしておきたいからです。もちろん、そんなことはできるわけはないのですが、それでも、そういうつもりで原稿を整えたい。そうすると、かな漢字の表記だけでなく…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第28回 "healing" は「癒やし」か?

★原書に何度も出てくるある単語を、日本語でも一つの訳語に統一して訳すのがむずかしいことは、第23回「"very"はとてもか?」の回でも触れました。この回では、さらにそれがキーワードに近い言葉なのに、訳語を統一できなかったケースを扱っています。簡単に…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第25回 サッカーを訳す

★昨日は土砂降りの雨の中、埼玉スタジアムに行ってました。最後、危なかったですが、レッズはFC東京に勝ち、とりあえずひとつ順位を上げました。堀体制になって、気のせいか、選手がのびのびやっているように見えます。ダービーには勝てなかったものの、シャ…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第24回 インチとセンチ

★結局、日本の作家が書くとしたらどう書くか、その状態にできるだけ近づけよう、ということなのだと思います。(2017年08月19日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この回で例としてとりあげたのは、『王国の鍵4 戦…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第23回 very は「とても」か?

★もちろん、very は必ず「とても」と訳すわけではないのですが、自分の訳本を調べたら、それが如実にわかったので、ちょっとびっくりしました。そう、機械的に訳語を決めてはいけません。と、自分で言いながら、つい……。(2017年08月18日「再」再録)★ ーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第22回 出だしは力が入るもの

★出だしが読みにくいと、読んでもらえない(買ってもらえない)んじゃないかと心配になります。原作者も、きっとかなり力を入れて書くんじゃないでしょうか。まずは1ページ読ませないと、そして、そのページをめくってもらわないと。(2017年08月17日「再」…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第21回 タイトルはだれが決める

★九月刊行の『オオカミを森へ』は、原題が "Wolf Wilder" なので、パターン②の「原題直訳」と、パターン③の「新しいタイトル」の折衷ですね。体言止めではないので、『明日に向かって撃て』型、いや、助詞で終わっているので、『去年マリエンバートで』型か…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第19回 第二外国語

★九月に出る新刊、『オオカミを森へ』(キャサリン・ランデル作、小峰書店)では、ほんの少しロシヤ語が出てきます。ほんの少しね。あれくらいなら大丈夫。(2017年08月15日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第二外国語、に遭遇したのは、大…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第18回 リーディングのディテール(その3)

★リーディングは、翻訳書という形ではあれ、本を世に出すための第一歩と言ってもよく、もっと大切にすべき仕事ではないかと、この頃強く思うのですが、どうでしょう? 出版社も、そこのところをもっと真剣に考えてほしい。(2017年08月14日「再」再録)★ ー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第17回 リーディングのディテール(その2)

★この回で「すべてのレジュメは主観的」と書いていますが、ほんとうにそうだと思います。その「主観」が、世間とズレているかどうかは、また別問題ですが、ズレていてもいいんじゃないでしょうか。(2017年08月13日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第16回 リーディングのディテール(その1)

★リーディングとは、結局、原書を読むこと。そして、どこがどうおもしろいと思うか、思わないか、を文章にすること。(2017年08月12日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー リーディングとは、原書を読んで作品を評価し…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第15回 ペーパーバック百冊

★この記事を書いたあとも、少しずつ本は増え、しかも、そのうちに、「あっ、翻訳されちゃった。やっぱり面白かったんだ、すぐに読んでおけばよかった……」という原書がたまっていきます。でも、たぶん、これは必要な投資なんだと思います。ピンポイントでとり…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第14回 「です・ます」調のこと

★この作品は、章が変わるごとに、老いた女性の語り手の文を「です・ます」調で、十代の男の子が語り手の文を「だ・である」調で処理するという、とてもやりがいのある翻訳作業でした。こういうの、じつは、けっこう好きです。うまく行くと、文章に味わいが加…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第13回 キャラクターの訳し分け

★セリフによるキャラクターの際立たせ方はとても面白い翻訳作業です。自分は、どこでこういう技(?)を身につけたのかと考えてみると、読書体験はもちろん大きいのですが、中高生のころ、毎日のようにテレビで見ていた洋画劇場の字幕や吹き替えのせりふに基…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第12回 戦争を知らない子どもたち

★8月になると、この記事を自分でも読み返したくなります。イラクもISからの解放が見えてきましたが、今度は、その後が、また大変でしょう。記事の中で、わたしが訳した戦争をあつかった児童文学を挙げていますが、このあとも、『フェリックスとゼルダ』、『…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第9回 翻訳の際の心がけ ── その4

★「自分の日本語」という表現は、傲慢な気もしますが、でも、自分の翻訳した本はすべて自分の言葉で成り立っているのだと思うことは、とても大切だと思うのです。(2017年08月02日「再」再録)★ 『レトリック感覚 (講談社学術文庫)』と『レトリック認識 (講…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第8回 翻訳の際の心がけ ── その3

★この回に挙げた、「声に出して読め」と「見直すほど良くなる」という心がけ二つは、やる気さえあればだれでにもできる訳文向上術だと思います。あとは、どれだけしつこくやるか。天才でない翻訳者は、しつこくやるしかないのです。(2017年08月01日「再」再…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第7回 翻訳の際の心がけ ── その2

★日本人は生真面目なので、翻訳においても、原書の構造や語彙をできるだけ生かそうとするのだと思いますが、できた日本語の文章が意味不明では困るわけで……。おそらく、この「(3)訳者は日本語に寄り添え」というのが、一番できそうでできないことのような…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第6回 翻訳の際の心がけ ── その1

★さて、今日は第6回を再アップします。こういう面倒くさいことを常時考えているわけではありませんが、一度考えておくと、迷った時、決めておいた方針が無意識のうちに助けてくれるような気がしています。(2017年7月30日、「再」再録)★ ーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第3回 「見取り図」が描けるか?

★見取り図は今もできるだけ書くようにしていますが、原文ではつじつまが合わないことはやはりちょくちょくあって困ります。この回では偉そうに色々書いていますが、編集者さんや校正者さんに指摘されて初めて気づくことが多いのは今も変わりません。読者によ…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第2回 「もちこみ」のこと

★最近のもちこみ成功例は、『ペーパーボーイ』(ヴィンス・ヴォーター作、岩波書店、2016年)、『ハーレムの闘う本屋』(ヴォーンダ・ミショー・ネルソン作、あすなろ書房、2015年)、『フランケンシュタイン家の双子』(ケネス・オッペル作、東京創元社2013…

コラム「再」再録 「原田勝の部屋」 第1回 翻訳のジャンル

★なかなかブログが更新できず、ついに禁断のコラム「再」再録をしようと思います。まあ、自分で読み返す意味もありますし、Facebook開始以降の読者の皆さんの中には、お読みいただいていない方もいらっしゃるはず。というわけで、以下、翻訳について書いた昔…

《寄稿》伊達淳さん(後半)

昨日の続き。 伊達さんの話を聞いていると、とても翻訳に対して謙虚で、調べ物やレジュメの書き方など、すごく丁寧なお仕事をされていることを感じました。ああ、もう少し自分も手をかけてやらないといけない、と反省しました。 奥様の故郷で、今、お住まい…

翻訳家、伊達淳さんと。

伊達さんとは昨日が初対面でした。お住いのある松江から、東京の出版社回りをするために上京されるというので、お会いしたのですが、とても初対面とは思えず、二時間半もの間、二人で翻訳にまつわる話をノンストップでしゃべりまくりました。楽しい時間でし…

コラム再録「原田勝の部屋」 第61回 翻訳は楽しい ── 最終回に寄せて

コラム「原田勝の部屋」の再録はこれでおしまいです。ただ、コラムそのものは、回によっては二度、三度と読んでいただいて役に立つものもあると思いますので、カテゴリーから遡って再読していただければ幸いです。 そもそもこのブログは、この再録のために始…

コラム再録「原田勝の部屋」 第60回 早いがえらい、か?

この回は、翻訳においては、仕事が早いのが必ずしもいいことではないのではないか、という、言い訳じみた論を展開しています。いや、早くてうまければ、それでいいんですが、早いとまずくなるので、仕方なく、遅くてもそこそこうまい、を目指さざるを得ない…

コラム再録「原田勝の部屋」 第56回 襟を正す

『S先生のこと』(尾崎俊介著、新宿書房、2013) この回は、上のエッセイ『S先生のこと』と、映画『ドストエフスキーと愛に生きる』のことを書きました。どちらも翻訳に深く関わった作品です。では、どうぞ。

コラム再録「原田勝の部屋」 第52回 至福の時

この回で触れたのは、『王国の鍵3、海に沈んだ水曜日』(ガース・ニクス作、主婦の友社)です。これ、カバーをはずすと、きれいな水色の表紙をしています。この水色のおかげで、電車の中で男の子が読んでいるのがこの本だと気づきました。

コラム再録「原田勝の部屋」 第50回 読書会

この回でとりあげた『クラバート』。一度見たら忘れられない表紙ですね。 クラバート 作者: オトフリート=プロイスラー,ヘルベルト=ホルツィング,中村浩三 出版社/メーカー: 偕成社 発売日: 1980/05 メディア: 単行本 購入: 18人 クリック: 353回 この商品…

コラム再録「原田勝の部屋」 第49回 フランケンシュタインは怪物か?

素敵な表紙絵を描いてくださったのは浅野隆広さん、デザインは藤田知子さん。大好きな表紙です。 浅野さんは、時代小説の表紙をたくさん描いています。『獣の奏者』の表紙も浅野さんです。

コラム再録「原田勝の部屋」 第48回 翻訳の速度

クルム伊達さん、がんばってますよねえ。中年の星ですよ。公子スマイル健在、というか、若い頃より断然愛想いいし。何より、ほかにあんなテニスする選手いません。錦織くんもそう。ユニークなんですよ、テニスが。え? 翻訳と何の関係があるのかって? いや…

コラム再録「原田勝の部屋」 第45回 訳者の名前

意識して選んでいるわけではないのに、なんだか、ちょっと怖いイメージの本が多くなってしまうのが不思議です。下の4冊は、いずれもわたしの訳書の原書カバー。 一度、出来上がったばかりの訳書を、ある書店の児童書売り場の方に読んでもらおうと思ってもっ…