翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

涙もろい

  勤務先の学習塾は、今、まさに夏期講習中。昨日、高校二年生の授業中に扱った英文が、弟が病気で……、という内容だったので、なりゆきで、「本を読んで泣くか?」という話になりました。

風が強く吹いている

風が強く吹いている

 

  もちろん、泣きますよお。『風が強く吹いている』は、感動のラストシーンで、池袋についた東上線からすぐにおりられませんでした。ハイ。

  で、生徒たちにきいてみました。

 

 原田「本読んで泣くことあるよねえ?    え?    泣かない?    おれ、自分の訳した小説のゲラ直しながら、よく泣くんだけど」

 生徒一同「ええええ⁈」

 原田「本で泣かないの、みんな?」

 

 生徒は7人。

 A君「泣きませんよ」と、当然のように。

 B君「本読みません」と、にべもない返事。

 C君「泣きません」と、済まなそうに。

 Dさん「いわゆる感動物語では泣きません」おお!    その気持ちわかるぞ。泣かされてたまるか、って感じね。でも、主人公が重い病気で、ってパターンでも泣いちゃうんだよなあ。でも、とにかく、Dさんは、泣く時は泣くんだな。よしよし。

 Eさん「映画では泣きます」ふむ。なるほど。

 Fさん「ドラマでは泣くかなあ〜」はいはい。

 Gさん「あたし、感動物語読んでも泣くし、ドラマ見てもすぐ泣くしい」ちょっと軽い感じが気になるけど、そう、そうだよなあ、泣くよなあ。

 

    原田なみに涙腺が緩い生徒は、7分の1、わずか一人でした。

 うーむ。人間は本で泣かなくなってきてるのか? そういう問題じゃない?

(M.H.)