翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

マリモスト、民族融和のためのプロジェクト

 元サッカー選手の宮本恒靖さん(ツネさま)が呼びかけている、民族対立で激しい内戦を経験したボスニア・ヘルツェゴビナでのスポーツアカデミー創設プロジェクト「マリモスト」が、クラウドファンディングで資金調達を呼びかけていたので、少額ですが出資しました。

greenfunding.jp

  すでに目標額の150万円を達成し、さらに300万円を目指し、12月15日まで出資を募っています。クラウドファンディングは、日本翻訳大賞の際にとても有効な資金調達の手法だと思い、参加しましたが、今回も意義のあるプロジェクトだと思い、出資しました。

 このプロジェクトは、宮本さんがFIFA大学院での論文のテーマとして選んだもので、実際に実現の可能性があると踏んで、同じテーマで活動したメンバーとともに現地に足を運び、具体化した計画だそうです。ファンディングのお返しに、彼がFIFAに提出した論文のサイン入りコピーがもらえるので、それを見てみたいという思いもありました。プロジェクト名の「マリモスト」というのは、現地語で「小さな橋」という意味で、民族間の架け橋になりたいという思いがこめられているようです。

 

 パリで多発テロが起きたばかりです。ISの撲滅が短期的な目標になるのかもしれませんが、民族の融和、人種や宗教を超えた人々の共存というのは今世紀のもっとも大きな課題だと思います。「マリモスト」はスポーツを通じて民族の融和をめざすプロジェクトです。国境を閉ざして民族の独自性を守るという考え方は、ひとつの考え方としてはあるかもしれませんが、実情にはもう合わなくなっています。日本も、これから日常生活における異文化間の軋轢がますます増えていくはずです。

 なにが大切かといえば、やはり教育でしょう。異文化への違和感というのは生理的に避けられないものですが、それを乗り越えるには知識が必要です。外国の文学を紹介している身として、ますます強く意識していくべき点だと思います。

 

 宮本さんの活動が成功し、その経験が、日本でも将来生かされることを期待しています。

(M.H.)