翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

サンフレッチェ広島の奮闘

 クラブワールドカップの準々決勝、準決勝と、広島の試合をテレビで見た。見事な戦いぶりだったと思う。レッズが出ていたら、と思いながら見ていたが、どう考えても、あれほどクオリティの高い戦いはできなかったんじゃないかと思う。

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 アフリカチャンピオン、マゼンベとの試合。しっかり守って徐々にペースをとりもどし、セットプレーから2点、この時点で勝負あった。2点とも若い茶島のコーナーキックから。1点目はニアで佐々木がすらして飛び込んだ塩谷、2点目はよく曲がったボールを千葉がヘッドで合わせた。今、ここに挙げた名前は、Jをふだんからよく見ている人は知っているだろうが、四人とも高年俸をもらっている代表クラスの選手ではない。

 茶島のプレーなんて、今年はじめてしげしげと見た。佐々木は甲府にいたよなあ、くらい。千葉なんて、いつもおちゃらけているだけで、足元下手くそだし、と思っていた。どう考えても、森保は名将だ。広島のフロントもすごい。ドウグラス、柏、柴崎と、よそから来た選手は大活躍、ミキッチはJで在籍が一番長い外国人、浅野、野津田と若手も育ち、寿人、青山、森崎兄弟と生え抜き・ベテランも健在。なにより一年を通じて選手の使い回しがうまい。

 

 準決勝のリバープレート戦。さすがにマゼンベより個々の足元がうまいので押し込まれたが、むやみにとりにいかず、5−4−1をすっと作って、ほとんど裏をとらせずに、最後は全員が体をはってシュートブロックしていた。先発の皆川、トップ下というか、1.5列目のドウグラスもよかった。青山のパスから前半は何度も決定機を作る。相手キーパーのスーパーセーブがなかったら、リードして逃げ切ったかもしれない。

 失点は林のミスだろう。あれはパンチングすべき。そのあとのリバープレートはさすがだった。1−0で勝つことに徹し、個人技を活かして人数をかけずにボールを前に運ぶ。時間をつぶす。それでも広島は果敢にせめたが、ああなるとスペースがなくて、あとから入った寿人と浅野はまったく目立たなかった。逆に1−0でリードしてからの投入なら、前に出たリバープレートの背後のスペースを使えただろうから、2−0で勝てたかもしれない。それほどしっかりとしたゲームプランを、選手全員が実行していた。

 心から賞賛する。

 守る、攻める、90分を考えてプレーする、選手を替えながらシーズンを、トーナメントを乗り切る。チームワークとはああいうことをいうのだと思う。

 

 ひるがえって浦和は、ミシャとの契約更改にあたってどういう条件をつけたんだろうか? 守備の構築、セットプレーの練習、選手起用、若手の育成? まさかなにも注文つけずに更改したんじゃあるまいな。

(M.H.)