翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『ビッグイシュー日本版』

f:id:haradamasaru:20160104232003j:plain

 年末に『ビッグイシュー日本版』を買いました。久しぶりだったので、バックナンバーもまとめて3冊。

  ご存知の方も多いと思いますが、『ビッグイシュー』はホームレスの人の自立を助けるために、ホームレスの人が自ら仕入れて販売している雑誌で、毎月1日と15日に発売、発行元は有限会社ビッグイシュー日本。値段は、今は一部350円です。バックナンバーは、販売者によってちがうかもしれませんが、数号前までさかのぼって買えます。350円のうち180円が販売者の収入になります。

 販売場所は東京近郊の人は見かけたことがあると思いますが、山手線や中央線などの駅前が多く、登録している販売員の方が立ち売りしています。詳しくはビッグイシューのサイトを参照してください。ああ、去年の秋からは、販売者不在地域限定で(そりゃあそうですよね)年間購読も可能です。

www.bigissue.jp

 

 この雑誌はイギリス発祥で、今は世界中に広まっています。同じコンセプトで名称がちがうものもあるようです。

 

 内容は、人権問題や各種社会活動、反原発、エコ、食や農業の問題、戦争、難民、貧困、差別などをテーマにした記事が多く、ふつうの新聞や雑誌にはない視点での記事も読めます。日本の各界の著名人のリレーインタビュー(元レッズの福田や水内も出たことがある)や、巻頭のスペシャルインタビューが面白いですね。上にあげた表紙を見るとわかりますが、この3冊では、ダライ・ラマ、リチャード・ギア、ヘレン・ミレンのインタビューが掲載されています。

 スペシャルインタビューは、海外の同様の出版物とタイアップしているようで、記事の一部が英語で載っていますので、英語の勉強にもなります。

f:id:haradamasaru:20160104233450j:plain

 こんな感じ。この号では、リチャード・ギアが2014年公開の映画『ロスト・イン・マンハッタン』でホームレスの男性を演じた時のことを語り、フィラデルフィアのストリート紙(こうした雑誌・新聞のこと)の販売者と交流した様子が綴られています。

 

 友人に見せてもらったのがきっかけて、『ビッグイシュー』を買い始めてから3年くらいになるでしょうか。いや、もっとかな? いつも同じ場所で、同じ人から買っています。わたしと同年代でしょうか、穏やかな方で時々おしゃべりもします。が、残念なのは、ずっと同じ人が販売を続けていること。つまり、この雑誌の売上を生活の糧にはしているのでしょうが、ホームレスの生活からは抜け出せていないことになるからです。

 

 これからも、その人から買いたいのは山々ですが、いつまでも買いたくはないなあ。

(M.H.)