翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

だいだい色

f:id:haradamasaru:20160115101719j:plain

  翻訳の勉強会の時に、出席者のKさんから、高知の橙(だいだい)をいただきました。ありがとうございます。

  そういえば、最近、「だいだい」という言葉を使っていませんでした。だいだいそのものを、わが家ではあまり食べて(飲んで)いません。「だいだい」「橙」……うーん、おもしろい名前だ。と、思って調べてみたら、どうやら、実を収穫せずにそのままにしておくと、2、3年枝についたままになっていることから、「代々」らしい。なので、縁起物として鏡餅の上にのせるのだとか。 

「だいだい色」という言葉も、子どものころはふつうに使っていましたが、だいだいそのものを見たことはあまりなかったと思います。色が先で、植物があとですね。まだオレンジが珍しかったということもあるでしょう。最近は、自分でも、この色を見るとオレンジ色と言ってしまいます。JISの規定では、だいだい色とオレンジ色のマンセル値は同じだそうです。クレヨンなどの色の呼称はどうなっているんだろう、と思って調べたら、こちらはまだ、けっこう「だいだいいろ」が用いられているようですね。

 そこで、思いだしたのが、「はだいろ」という呼称が使われなくなってきているという話。いろいろな肌の人がいるから、ということで、最近では、「ペールオレンジ」とか「うすだいだい」と表記することが多いそうです。うーん、これはむずかしい問題。ある言葉の使用をやめようとする時には、なんらかの意図があるわけですが、それまでの文化的な連続や、実際問題として、明日から全員が変える、というわけにはいかないところが悩ましい。でも、問題意識はもつべきでしょうね。

 オレンジ、といえば、英語の orange cat は茶色のネコのこと。茶色といっても、いろいろな濃さがあるのでしょうが、どうも、茶色を orange という感覚はぴんと来ません。まあ、そんなことを言ったら、「茶色」の「茶」ってなに、ってことになりますよね。どうして茶色は緑色じゃないのかと思って調べたら、これは染料として使われた時の色なのだそうです。ああ、ややこしい。

 

 さて、肝心のいただいた「だいだい」、どうやって食べ(飲み)ますか。勉強会の出席者のお一人は、すでに炭酸割りにして飲んだそうです。ドレッシングにまぜるかな。

(M.H.)