翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『テルマエ・ロマエ』

テルマエ・ロマエI<テルマエ・ロマエ> (ビームコミックス)

 

 昨日はインフルエンザの熱がやや下がりはじめ、ずっと寝ているのも腰が痛くなるので、そうだ、録画しておいた『テルマエ・ロマエ』を見よう、と思い立ちました。これなら、ぼうっとした頭でも楽しめるんじゃないかと……。

 いや、おもしろかった。原作の力も大きいのでしょうが、それをやりきった映画のスタッフ・俳優たちもすごい。最初の10分は、なんだこりゃ、という感じだったのが、どんどん引きこまれてしまいました。

 細部がいい。シャワーハットとか、ケロリンのおけとか、フルーツ牛乳とか、温泉卵とか。

 俳優がいい。阿部寛のきまじめさをはじめ、ローマ人を演じた市村正親、北村一輝、宍戸開の3人が、ほんとにローマ人みたい。それにたいして、平たい顔族のおじいちゃんたちが無名の人たちなのに(たぶん)、いい味出してる。笹野高史ら、温泉宿にいる人たちもいかにも日本人っぽい。

 そしてなんといっても、上戸彩。ドラマをふだん見ないので、この人、お父さん犬と一緒のところしか見てないんですが、演技うまいなあ。泣き顔と笑顔がどっちもかわいいのはなんて得なんでしょう。しかも、むちゃくちゃ滑舌がいい。そして、標準語、今時の若い女の子の言葉、東北弁とおぼしき方言、その切り替えやタイミングが台本の良さもあるのでしょうが、抜群でした。はてはラテン語まで駆使するのだからおそれいりました。漫画家っぽい服装や、陶器メーカーの女子の制服、ローマ人の衣装まで、コスプレの要素もありますね。

 あと、一見ばかばかしいことを、全力で映像化したこと。ここまでやると納得できる。これ、何歩か手前でやめてると、たぶん、グダグダの作品になっていたと思う。

 

 と、油断していたら、午後からはまた、熱が7度を超えてきました。インフルエンザ、かかった記憶がないんですが、こんなにしつこかったっけ? 今日は、まだ8度手前で止まってます。少し、仕事もできるかな。

(M.H.)