翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

新刊『エベレスト・ファイル シェルパたちの山』  3月16日発売!

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 すでに予約受付が始まっていますが、わたしの新しい訳書『エベレスト・ファイル  シェルパたちの山 』(マット・ディキンソン作、小学館、1,500円+税)が、3月16日に発売開始です。これが表紙。エベレストとローツェのあいだから昇る朝日を、ベースキャンプから写した写真です。五色の祈祷旗が鮮やかですね。

  ちょうど『エヴェレスト ─ 神々の山嶺』の映画封切りを知らせる宣伝が、新聞各紙にデカデカと載っていますが、今回、発売時期がかぶったのはまったくの偶然です。あちらはストイックな山岳小説の映画化ですが、こちら『エベレスト・ファイル』は、副題に「シェルパたちの山」とあるように、アメリカの登山隊に同行することになったシェルパの少年が主人公の物語。単なる山岳小説ではなく、異文化に暮らす若者をあつかうヤングアダルト小説として、ネパールの暮らしぶり、仲間のシェルパや外国人登山家との人間模様がしっかりと描かれた佳作です。現代の商業登山のあり方にも一石を投じています。

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 作者のマット・ディキンソンは、イギリス人の映像作家であり、ドキュメンタリー・YA作家で、長年、BBCやナショナル・ジオグラフィックなどの媒体を通じて、登山や自然、冒険旅行を追ったドキュメンタリー映像を発表し、高い評価を得てきた人物で、1996年には自らエベレスト北壁に挑み、みごと登頂に成功しています。ですから、登山のシーンは迫真の描写。雄大なスケールと細やかな感情描写のミックスが絶妙です。また、登山の喜びだけでなく、その土地の自然や人々の文化への敬意の念が作品のはしばしから伝わってきます。

 

 なにより、ぐいぐいと先が読みたくなる予想外の展開に、終始ハラハラ、ドキドキすることまちがいなし。ぜひ、ご一読を!!

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(M.H.)