昨日、宇宙ものの原稿を送ったら、とりあえず時間ができたので(いや、ほんとは、あれとか、これとか、いろいろあるんですが……)、借りっぱなしの(Aさん、すみませんいつも)映画のDVDを観ました。
原作は "The Book Thief"(by Markus Zusak)。2004年にオーストラリアで出た本。プリンツ賞の佳作に選ばれています。これ、原書が出て、わりとすぐに買ったのですが、なにせ分厚い本で、計ったら、厚みが4センチありました。500ページ超。字もそこそこ細かい。で、読むのを躊躇しているうちに忘れてしまい、そのうち訳書が出てしまいました。ほら、一人で立ってるでしょ。
第2次大戦中のドイツでのお話。リーゼルという孤児になった少女が子どものいない夫婦の家に引き取られ、そこに、ユダヤ人の青年がかくまわれることになって……。という出だしなのですが、ただ単に、戦争やヒトラーやユダヤ人迫害の話ではなく、文字を読むことができなかったリーゼルが、文字を覚え、本の世界に引き込まれ、盗んで(借りて)まで読むほど本が好きになり、彼女の朗読によって、ユダヤ人青年は一命をとりとめ、防空壕の中ではおびえた人々が慰められます。映画の邦題に「やさしい」とつけたのは余計なお世話にも思えますが、つけた人の気持ちもよくわかります。
リーゼルとルディを演じた二人の子役がいい。それを言えば、出てくる俳優たちは、みな存在感があってよかった。里親の二人もいいです。調べたら、パパ役のジェフリー・ラッシュは、『シャイン』のピアニスト役だったんだ。ママ役のエミリー・ワトソンは、どこかで見たことあると思ったら、去年観た『エベレスト3D』のベースキャンプのマネージャー役でした。
死神が語り手、というのが、原書が出た時の紹介文には必ずついていました。映画でもナレーションで出てきますが、そこまで存在感(?)はありません。2時間の映画では、たぶん、すくいとれなかった部分がたくさんあるはず。原書の中をちらちら見ると、こんなページや
あんなページが。
うーん、気になる。本が出てくる話はいい話が多いしなあ。映画に出てこないシーンが知りたい。読むしかないかな。いや、こんな厚い本、時間ないぞ。電車の中で読むか。いや、重いでしょ。そうだ日本語なら読めるかも。
これ、もとは児童書というか、YA扱いなんですが、日本では一般向けに出てますね。無理もない。
- 作者: マークースズーサック,Markus Zusak,入江真佐子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/07
- メディア: ペーパーバック
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(M.H.)