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翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

ダメだし

 リーディングを頼まれ、原書を読み、あれこれ理屈をこねて、「今ひとつなんで、推薦できません」と、まあ、いわゆるダメだしをすることが年に何回かあるわけですが、いつも、「だいじょうぶか? 俺の判断で……」と思います。

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 だって、海外ではちゃんと本になってるんですよ。版権エージェントさんだって、梗概を読んで、出版社を選んで話をもちかけたものがわたしのところに回っているわけで、それをわたし一人の判断でやめちゃっていいんだろうか、と。 もちろん、版権をとらないという判断は出版社がしてるんですが、でも、複数の人がリーディングしていないことが多く、結局、わたしの判断でやめちゃうことになることもあるわけです。

 わたしの判断、というのは、わたしの感想です。趣味です。好き嫌いです。客観的な評価なんて、文芸作品についてはあるようでありません。多数の人の好みに合うことが客観的に評価されたように見えるだけで、それは結果論です。だから、あっちの出版社では見送ったのに、こっちの出版社で出したらベストセラーになることがあります。ここが翻訳や出版や本そのものの面白いところでもあります。

 だから、せめて、レジュメや感想には、「ここがこうなので、イマイチです」と書いて、結局好みに合わなかったんだけれど、どう合わなかったのかをはっきりさせるようにしています。それが別の人の評価の参考になったり、次の作品の時に、「ああ、原田はああいう作品は合わないみたいだけど、これならどうだろう」って編集者さんも考えてくれるんじゃないかと勝手に思いながら。

 

 先週、イマイチです、と言った本、そんなに悪くないです。というか、ものすごく好きな人がいると思います。挿絵だって人気の画家さんが描いてます。どうか、どなたかが拾ってくれますように。

(M.H.)