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翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

映画『あん』

本・映画

 録画してあった映画『あん』をやっと観ました。よかった。

あん DVD スタンダード・エディション

    ドリアン助川さんの原作は、あるのは知っていましたが、読んでいません。以前、同じ塾で先生をしていた渡邉正城さんがこの映画を配給した会社の代表だったので、これはどうしても観なければ、と思っていたものです。

  ハンセン病患者の差別がテーマの一つであることは間違いありませんが、樹木希林演じる徳江さんの自然への眼差しや人生観が、ストーリーや映像の背後に流れていて、洗われたような気持ちになります。

    もちろん、それは彼女が少女の頃から隔離施設の中ですごし、身ごもった子を産むことも許されず、それでも、いや、それだからこそ、桜の花や、雑木林を吹く風に心を寄せ、あんを炊くためのアズキの粒を慈しむように洗うのです。

     長瀬正敏演じるどら焼き屋の雇われ店長も、内田伽羅(樹木希林の実の孫ですね)演じる女子高生も、それぞれの不幸を抱えながら、徳江さんの自然や周囲の人々への眼差しに心をほどいていきます。

    音楽がないシーンが多くて、アズキを洗う音や、人の声、風の音が耳に残りました。それだけで、自分も周囲にもう少し細やかな心遣いをしなければ、と思わされます。

 

    渡邉さんからは、この映画でカンヌへ行った話を少し聞きましたが、いい映画を作ったなあ、と、遅ればせながら、心からの拍手を送りたいと思います。

 

     すでに公開から1年以上経ちますが、今もあちこちの劇場で上映が続いています。今なら、WOWOWでもやっています。DVDにもなりました。皆さんもぜひ!

(M.H)