翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

男女の問題?

 地球と宇宙をテーマにした図解ものの翻訳が一段落して、少しずつ次の仕事を進めていますが、ちょっとリズムに乗るのに手こずっています。

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 時おり、文と文の繋がりに、わずかですが飛躍があるように感じます。字面だけ日本語にすると、なんだか収まりが悪い。文章の味になればいいのですが、おや、と思われるだけだとまずい。登場人物のせりふも、いまひとつピタリと決まりません。

 

 主人公が女の子だからかもしれませんねえ。そう言えば、作者も女性だし、そのせいだろうか?    気になって、今まで翻訳した作品のうち、作者が女性だったものはいくつあるのか確かめてみたら、38分の4でした。意識して選んでいるわけではありませんが、男性作家の作品が断然多くなっています。

 そもそも、作家の性差は文章に出るのでしょうか? 内容には出るでしょうが、文体には? うーん、わかりません。英語は日本語ほど出ないような気がします。でも、訳者の男女差はどうでしょう?

 児童書の翻訳は、いや、今ではたぶん出版翻訳全般で、女性の翻訳者が多い。セミナーや勉強会で男性を見かけると、思わず「同志!」と声をかけたくなります。この女性優位の状態で、翻訳文学はなにかその影響を受けているのでしょうか?

 以前、ある編集者さんに、翻訳を頼む時に訳者の性別を考慮しますか、と訊ねたところ、しない、とおっしゃいました。でも、別の編集者さんは、主人公が男の子なので、男性の訳者にやってもらいたかったのだ、とおっしゃいました。 一人目の編集者さんは女性で、二人目の方は男性です。だからどうだ、というのは、サンプルが少なすぎてわかりません。

 

 男性作家の男性主人公の原作を、男性訳者と男性編集者で日本語版を作った場合と、同じ原作を、女性訳者と女性編集者で作った場合とでは、違うテイストになるんでしょうか?

 

 あ、いや、もしかしたら、このちょっとした違和感の原因は、原作者が南ア生まれのイギリス人だから? いや、この作家のくせかも……。

    いやいや、暑くて頭が回ってないだけかも……。暑すぎるぞ、日本。

(M.H.)