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翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

世界のバリアフリー絵本展

 帰省中ではありますが、あらかじめ書いておいた記事をアップします。

    JBBY(日本国際児童図書評議会)では、IBBY(国際児童図書評議会)の障害児図書資料センターがセレクトした、障害のある子どもたちに関連する、世界各国で出版された本のコレクション(原書)を、「世界のバリアフリー絵本展」というタイトルで巡回展示しています。

 今は、2015年版のコレクション50タイトルを、2016年4月から、全国で順次、巡回展示しています。7月に出た拙訳『ペーパーボーイ』は、じつはこの2015年版のリストにあがっています。主人公が吃音者であることが、物語の核になっているからでしょう。

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www.bf-ehon.net

 

 わたし自身、この作品の原作を読んで企画をもちこむにあたっては、吃音者の物語であることを評価したわけではなく、小説としての完成度や、主人公が吃音によって抱える問題が、広く人と人とのコミュニケーションの問題に重なると感じたからです。そうは言っても、作者のヴィンス・ヴォーターさんが吃音克服者であること、そして、自分の少年時代の経験をベースに吃音者を主人公にした物語を書こうと思って書いた作品であることはまぎれもない事実で、そういう意味でも評価されるべき作品です。

 吃音者は、遺伝の関係で、人口の一定割合存在するのですが、年齢とともに治る人もいれば、トレーニングや個人の工夫で克服したり、目立たないようにしている人もたくさんいらっしゃるようです。わたしは塾で中高生を教えていますが、今まで、あててもすぐに答えられない生徒には、「ちゃんと覚えてこい!」、「先週やったばかりじゃないか!」、「まちがえてもいいから発音しなさい!」と、ついきつい口調で言ってきましたが、もしかして、そうした生徒たちの何割かは、吃音を抱えていたのかもしれないと思うと、もう少し丁寧に生徒一人一人の反応を確かめなければならないと反省しています。

 

 今、展示は、国立国会図書館国際子ども図書館で行なわれています。詳しくはこちらを参照ください。

www.bf-ehon.net

 

 また、今、Amazon の『ペーパーボーイ』のページには、ご自身が吃音を克服されたという方のレビューが載っています。ご興味のある方は、一読してみてください。訳者としても、とても励まされるレビューでした。( Amazon CAPTCHA )

 

(M.H.)