翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

翻訳勉強会(2−9)

 8月はお休みだった勉強会。昨日は再開初回。

 1ヶ月あいだがあくと、細かいところはすっかり忘れています。ふだんは続けて一つの作品を翻訳していますが、それでも、うっかり前の記述を忘れて、整合性のとれない訳文を作ることも……。気をつけなければなりません。

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 この日、もりあがった(?)のは "white shirt" のこと。当番だったSさんは「白いシャツ」と訳していました。

 

 "A man in a tie and white shirt" となっていますので、スーツの下に着るような、いわゆる「ワイシャツ」ですね。なので、「『ワイシャツ』にすればいいんじゃない?」とコメントすると、Sさん、ワイシャツが white shirt から来ていることを知らなかったと言います。で、聞いてみると、このことを知っていたのは、出席者7人のうち、わたしと、わたしと同年輩の方の2人だけでした。みなさん、わたしより20歳から30歳若いので、その年代になると、ワイシャツという言い方もあまりしないのかもしれません。

 でも、やっぱり、「白いワイシャツ」とか「青いワイシャツ」とか言うのはおかしいと思うので、知っていたほうがいいと思います。ああ、でも、これ、もしかしたら男女の差があるかもしれませんね。

 

 これだけでも、ちょっと驚いたのですが、もっと驚いたのは「カッターシャツ」のこと。話の流れで、「カッターシャツ」ってなんだっけ? 語源は? という話になりました。わたしは、船の種類に「カッター」というのがあるので、船乗りの関連かと思っていたのですが、調べてみると、これ「勝ったー」から来ているそうです。

 スポーツ用品会社の美津濃が、テニスやラグビー、ゴルフなどをする時に着る襟付きのシャツに、縁起物で「勝ったー」から「カッターシャツ」とした商品名で、まあ、一種の和製英語なんだそうです。うそのような話ですが……。

 詳しくはこちらの日経新聞の記事がわかりやすいと思います。

www.nikkei.com

 

 関西では「カッター」という人が多い、とか、学生服の下に着るワイシャツは「カッター」ということが多い(そういえばそんな気がする)とか、今では、ドレスシャツとか単にシャツ、とか言うとか、なかなか面白い記事です。

 まあ、この作品の場合は、1959年という設定ですし、なんとなく「ワイシャツ」がいいんじゃないかと思うのですが、読んだ人が「背広(もすでに死語?)の下に着る白い(長袖の?)シャツ」と思ってくれないのなら、「白いシャツ」としたほうがいいのかもしれません。

 

 以前も、ジャンパー、アノラックで意見が分かれました。ズボン、ショーツ、ハーフパンツなども問題ですよね。ファッションはむずかしい。

(M.H.)

 

PS:今朝、バイク屋のご主人、Nさんと電話。オイルをぬいたら、水が2リットルくらい出たらしい。でもエンジンはかかったとのこと! 

 W400、復活するかも! お願いです、Nさん、生き返らせてやってください!!