翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

妄想が止まらない。

    昨日のこと、わずか三語の文に手こずり、一時間近くこねくりまわしました。

 七転八倒のもとはこれです。

 

    We are coming.

 

    文脈はくわしく明かせませんが、主人公がこの一文を木の幹に刻みます。

 

 「もどってくるからな」

「おぼえとけよ」

「夜道は気をつけるんだぜ」

「枕を高くして眠れると思うなよ」

 

    いや、待てよ。主人公、女の子だし。ヤクザの抗争じゃねえし。長いし。

 

 

「復讐するは我にあり」

 

    どっかで聞いたタイトルだ。「讐」の字、難しくて木に刻めないよなあ。でも、「復讐」は使えるかも。

 

    うーん、しかし、原文は、ただの "We are coming."  だぞ。

 

    We are coming.

    I shall return.

    I'll be back.

 

    マッカーサーか、シュワちゃんか。連想は続きます。

 

    帰る、もどる、来る……。

 

「悪魔が来たりて笛を……」  

 

    妄想が止まりません。いや、どう考えてもおかしいだろ!    

 ダレカタスケテクレ……。

 

    そうか。カタカナ、いいかも。木に刻むんだし。

 

    復讐、リベンジ、敵討ち……。お、敵討ち、使えそう。

 

 

    …………。

 

 

「カナラズ    カタキハ    ウツ」

 

    いいんじゃない?   どうだ、ざまあみろ!

    って、だれに言ってんだ? 

 

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 こうして今日も日が暮れていきます。ん? 疲れてる?

 

M.H.)