翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

「はじめての海外文学スペシャル」取材レポート

 昨年12月に開かれたこのイベント、翻訳者が自薦、他薦で翻訳書を紹介するものでした。アルクさんのサイトに詳細なレポートと動画がアップされましたので、ご紹介します。

www.alc.co.jp

 とてもきれにまとめられていて、関係者の皆さんに感謝です。

 

 ただ、「ビギナー編」で紹介されているものも、果たしてビギナー向けなんだろうか、と思いました。ほとんど読んでないので、わかりませんが……。そもそも、会場を満員にしてくださった皆さんは、全然ビギナーじゃない(と思う)。

 たとえば、『グルブ消息不明』は柳原さんのプレゼンが超絶おもしろくて、帰りに青山ブックセンターで買って読んだという友人は、電車の中で読まないほうがいい、というくらいおもしろい、と言ってました。で、その友人から借りて読み始めたら、翻訳者の性か、この宇宙人の姿や行動をいちいち頭の中で映像化せずにはいられず、しかも、こいつ、変幻自在に姿を変えるし、普通ではありえないことをするので、想像にはものすごく脳みそのエネルギーが必要で、十数ページであえなくギブアップしてしまいました。

 ちょっと背伸び編で『パライソ・トラベル』を推薦された宇野さんも、ビギナー編だったら『グルブ』を紹介していた、とおっしゃっていたので、たぶん、わたしの脳が悪い意味で翻訳者モードから切り替えられなかったのかもしれません。映像を伴う言葉を読むと、いちいち映像を立ち上げないと気が済まなくなってしまっている……。

 ま、本は人によって、おもしろかったり、つまらなかったりするものですからね。でも、なんだか、抱腹絶倒、とみんなが言ってる本を、そういうふうに思わないのは損した気分だ……。

 

グルブ消息不明 (はじめて出逢う世界のおはなし―スペイン編)

 

 話がそれました。わたしは自分の訳した『エベレスト・ファイル』を紹介していますが、ヤングアダルトものはビギナー編にはぴったりだろうと思います。読みやすいものが多いし、また、翻訳者もできるだけ読みやすく訳そうと努めているはずです。ほんとうの(?)ビギナーの皆さんには、このジャンルはおすすめだと思います。

 

 当日、会場にお越しになれなかった方は、動画もありますので、ぜひ。

 ただ、自分がしゃべっている動画は怖くて何があっても見る気になれません。ああ、考えただけで恐ろしい。そう考えると、芸能人のメンタルはすごいな……。

 

(M.H.)