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翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『だれも知らない小さな国』

 佐藤さとるさんが亡くなられました。ご冥福をお祈りします。

『だれも知らない小さな国』を初めて読んだのはいつだったのでしょうか。はっきりとはおぼえていませんが、小学生の時だったのでしょう。夢中になって、何度も読み返しました。

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 メアリー・ノートンの『床下の小人たち』と相前後して読んだように記憶しています。わりと海外の児童文学をたくさん読んでいた子ども時代に、『だれも知らない小さな国』は、すぐそこにコロボックルたちがいるかもしれない、というファンタジーの日常性というのか、想像力を身の回りの生活や自然に働かせることの面白さを再認識させてくれました。佐藤さんは、お住まいだった横須賀の自然を下敷きにこの物語を書いたようですが、エノキやツバキ、ヒイラギといった木々や里山の自然は、やはり神奈川県生まれの自分にとって、親和性があったようにも思います。

 昨年でしたか、読書会で読み返すと、このお話の中には自然保護だとか、せいたかさんとおちび先生の二人の関係とか、ただの小人もの(?)ではない、広がりをもった構成であることもよくわかりました。コロボックルのシリーズは、たぶん、これしか読んでいないのですが、あとの彼らの冒険は、もうほかのファンタジーと同じになってしまうような気がして(勝手な思い込みですが……)、あまり関心がありませんでした。せいたかさんが彼らを見つけ、関係を築くところまでがこの物語のオリジナリティだと感じていたからです。(似たような理由で、やはり小学生のころに夢中になった『ツバメ号とアマゾン号』も、一巻だけを繰り返し読んでいました。)

 

 それはともかく、『だれも知らない小さな国』は、わたしにとって数少ない完璧な作品のひとつです。この本を何度も読んでいたころの自分が、今の仕事へと導いてくれたのかもしれません。

 佐藤さん、ありがとうございました。

 

 

 ほぼ同時に、ミッフィーのディック・ブルーナさんの訃報も入ってきました。ミッフィー(最初は、うさこちゃん、だったかな?)は、子どものころにはまったく関心がなかったのですが、一昨日の記事でも書いたように、箱根ホテルのコックさんが、朝食のオムレツをミッフィー(風)にしてくれたのが、なんだかずっと残りそうです。きっと、毎朝のようにやってるんでしょうが、なにせ、この日はブルーナさんが亡くなられた日でしたから……。

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(M.H.)