昨日発表があり、受賞作は以下の2作品となりました。拙訳『ペーパーボーイ』は大賞には選ばれませんでしたが、大健闘でした。推薦・応援してくださったみなさん、ありがとうございます。
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ここ、2、3週間、どきどきしながら発表を待っていましたが、翻訳して本になってしまっている以上、どうすることもできず、結局、目の前の仕事をこつこつ、丁寧にやるしかないのでした。
『ペーパーボーイ』は、原作の面白さもさることながら、吃音の少年が主人公であることや、読点がほとんどない訳文であることなど、訳文を作る上での工夫が形になって見えやすい、言わば、尖った翻訳であることも、今回、この賞の最終選考にまで残った要因ではないかと思います。
ただ、ふつう、児童文学やヤングアダルト作品の翻訳者は、対象読者のことを考え、語彙を絞って、できるだけわかりやすくてなめらかな訳文を考えるので、それがうまくいけばいくほど、尖ったところのない訳文に近づいていくはずです。そして、その中にも、原作のもつ優しさや鋭さ、悲しみや恐ろしさなどが表現されていることが、すぐれた翻訳なのだと思います。それを評価するのはとてもむずかしいことですが、どうか来年もまた、児童書・ヤングアダルト、さらに絵本からもぜひ、推薦していただけることを願っています。
授賞式は4月23日(日)。去年も一昨年も、とても楽しい、元気をもらえる、そして翻訳者魂に火がつくイベントでした。今年もとても楽しみです。
(M.H.)