翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

あと25年。

 おととい、塾での授業中のこと。なにかの拍子に、「おれも、今年60歳だからなあ、自分でも信じられないよ」と生徒たちにむかって言ってしまいました。どこかで「先生、そんな年には見えませんよ」というひとことを期待していた気もしますが、すかさずAくんが言いました。

「まあ、残りはやま25年ですね。桜もあと25回しか見られませんよ」

 なんだとお〜(怒)!

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 この野郎、と思ったが、でも、まあ、たしかにそうだ。

 でも、25年はけっこう長い、とも言える。

  25年前になにをやっていたか考えてみる。1992年。35歳。最初の訳書『ミッドナイトブルー』(ポーリン・フィスク作、ほるぷ出版)が出たのが1993年でした。25年後は85歳。元気ならまだ翻訳の仕事はできる気がする。いや、いい迷惑だろうか? とりあえず定年はないので、もしかしたら、今までの仕事と同じくらいのことはできるかもしれない。そう考えると元気が出た。

ミッドナイトブルー

 

 昨日、塾に卒業生が遊びに来ていた。大学2年生になったばかり。まだ就活のことは全然考えていない。「お前は文系なんだから、どうのこうの……」と話をしてやったが、返ってきた言葉は、「とりあえず、遊びます!」のひと言。まあ、それもそうだ。大学生のころは、2年後、3年後なんて、はるか未来に思えた。

 そうだな。とりあえず、目の前のことだな。それに、うちの家系はけっこう長生きだ。祖父は明治の人だが、91歳まで生きた。父は今93歳だ。この調子でいけば、自分は95くらいまでいけるかもしれない。25年翻訳しても、まだその先10年もある。よーし。って、よくわからないけど、よーし、だ。

(M.H.)