翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

論理的でない。

 なにが気持ち悪いといって、国会での共謀罪をめぐる質疑応答に、いや、政府の答弁にまったく論理性がないことだ。筋の通らない言葉をならべ、時間を使い、最終的には数の「論理」(論理じゃないでしょう)で決めていく。

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 なにをするにも、自分のやることにはある程度、筋というか、合理性というか、納得感というか、そういうものがなければ我慢できない性分の人間としては、国会でのやりとりは、もうあれは議論とは思えない。ふつうの知性をもつ人ならば、法案の説明が矛盾だらけであることは理解できるはずだ。

 それでも政府与党があの法案を通そうとしているのは、立法目的と謳っているテロ等準備を取り締まる目的ではなく、政府にとって都合の悪いことを計画している人たちを取り締まる法律を作ろうとしているとしか思えない。

 一事が万事で、とにかく自民党政権のやろうとしていることは、既得権益の保護、現状の維持でしかない。今、富んでいる者、今、権力の座にある者が得をすることしか考えていない。変わっていくことを恐れずに政治や経済や社会を回していくためには、論理的であることがとても大切だ。自民党政権が支持されることは、考えない人間を作ってきてしまった日本の教育の「成果」なのかもしれない。

 しかし、あの国会でのやりとりを聞いてきた上で賛成する与党議員は、自分が恥ずかしくないのだろうか? その一点だけでも、とても今の与党に票を投じる気にはなれない。

 

(M.H.)