翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

「改ざん」の横に「道徳教科書検定」!?

 ふざけるな、と言いたい。

 いっそ、「こういうことはしてはいけません。ほんとうのことをいいましょう」という悪い例として、道徳の教科書に載せてはいかがでしょうか。

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 なんか、似たようなやりとりが、わたしが教えている塾の生徒たちとのあいだでもあります。たとえば……

 

「先週はどうして塾を休んだんだ?」 

「その件は、お母さんから叱られる恐れがあるので、答えられません」

 

「この宿題は出来すぎだ。模範解答をだれかからもらって写しただろう?」

「いいえ、ぼく一人でやりました。」

 

「次の授業には必ず出す、って先週言ったじゃないか」

「あの、出す、と言いましたが、それは今週の宿題のことで、出し忘れた先週の宿題のことではなく……」

 

「どうした? 今日は3時、って、おまえ、自分で言ってたじゃないか?」

「 いえ、3時、とは言いましたが、それは部活が3時までという意味で、それからコート整備、シャワー、着替え……で、5時になりました」

 

「やる気あるのか?」

「あります!!!」

 

 いや、絶対ないでしょ。

 

 日本中の子どもたちに、どう申し開きするのだ! いや、ちがうな。そうじゃない。これじゃ、日本中の子どもたちに、さぼった時の想定問答を教えているようなものじゃないか!

 

 冗談はさておき、一流大学を出たエリート官僚(たち)が、国民の代表が集う国会で、こんなやりとりしかできないなんて、どういうことなんだろう。佐川さんは、ぜんぶしゃべっちゃえばいいじゃないか、とわたしは思う。こんな重いものを抱えて一生生きていくのはつらいだろう。洗いざらいぶちまけて、日本の公文書管理や役所の悪い部分を出して改善するきっかけに自分がなる、くらいのことを考えないのだろうか? それで巻き添えになる人がいるかもしれないから、とか、考えているのだろうが、佐川さん自身がすでにもっと大きなものに巻き込まれているわけで……。

 

 いや、そういうことを言いたかったわけじゃなくて、だって、おかしいでしょ。刑事訴追の恐れがあるから、つまり、自分の身を守りたいから、国民の代表の質問に答えなくていいんだから。ということは、訴追されたら、検察当局にはほんとうのことを言うんだろうか? いや、罪をもっとも軽くするために弁護士と協議しながら答えるんだろうな。そもそも、不起訴になったらどうなるんだろう?

 

 

 だからさ、これじゃ、「うそをつくな」って、子どもに言えないじゃん。「正直に、誠実に、一生懸命に」って言えなくなっちゃうだろ。それ、自分の子どもの前で言えますか、やれますか、って考えたら、国会のやりとりなんて、みんなダメだ。いっそ、国会議員や証人は、自分の子どもや孫を傍聴席において質問や証言をさせたらどうだろう?

 

 道徳の教科化? ふざけるな、と言いたい。

ーーー

(M.H.)