翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

「空色ブックガイド」最終回

 読売新聞夕刊のYA本紹介コーナー、「空色ブックガイド」が先週土曜日の回が最終回となりました。紹介したのはこちら。

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「肩胛骨は翼のなごり」は、原作 "Skellig" が出た時にすぐ読み、訳したかった本です。児童書の体裁ではなく、東京創元社から出ましたが、それはそれでよかったのではないかと思います。日本語版タイトルは、最初はびっくりしましたが、今ではこれしかない、という感じになじんでいますね。タイトルはむずかしい。

 この作品のことを書いた過去記事を貼っておきます。原作者、デイヴィッド・アーモンドさんの講演を聴きにいった時の話。やさしそうな、「いい人」を絵に描いたような方でした。

haradamasaru.hatenablog.com

 

 テイストが似てるといえば似ている「怪物はささやく」。イラストとの融合がすばらしい。日本語版の造本もいい。手元においておきたい本です。こちらも、人間ではないものが登場しますが、「肩胛骨……」とはちがって、それは主人公の心の中の怪物。人間の心のいやなところを直視する作品として、児童書としてはかなりハード。こういうテーマをふりきった形で扱うことがあるのが、海外のヤングアダルト作品のいいところだと思います。

 

 丹地陽子さんの最終回のイラストはこちら。

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「怪物はささやく」はもともとイラストが入った本なので、やりにくかったと思うのですが、「怪物はささやくっぽいスケリグ」も描いてくださいました。男の子の後ろ姿がいいなあ。丹地さん、ありがとうございました。

 

 なかがわちひろさんと月代わりで描いたYA本紹介コラムでしたが、とても楽しい仕事でした。読者のみなさんが、このうち一冊でも読んでくれているといいのですが。

 

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(M.H.)