翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

謝辞はつらいよ……

 謝辞、ってありますよね。本の最後の方に、「〇〇さんには〜の件でお世話になりました」「△△さんの助言がなかったら、この本は……」「幼いころの私を本好きにしてくれた亡き父に……」とかいう、あれです。英語ではこれ。

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 これ、翻訳するの、ほんとつらいんですよ。なにがってね、結局、お世話になった人名のオンパレードなわけで、いや、有名人ばっかりならいいんですよ。今ではそれなりに調べることができて、さほど有名でなくても、作家とか大学の先生とかなら、どんな作品書いてるかとか、どこの大学でなにが専攻かとかね、けっこう調べがつきます。

 でも、問題は発音。最後は本人じゃなきゃわからない。一般的な発音を調べてきてカタカナにうつすわけです。いいなあ、欧米の言語は。アルファベットが共通だから、そのまま書けばいい。もう、今日なんか朝からずーっとこればっかりやってるのに(いや、ちょっとフランスvsクロアチア戦の録画も見たけど……)、2ページも進まない(泣)。

 スラブ語系とかアラビア語系とかアフリカの諸言語らしき名前だと、もう、よくわからない。移民した人なんて、現地語で発音しやすいように名乗っちゃったりしているわけで……。 YouTubeで本人がしゃべってる映像とかあると、司会の人の紹介の言葉を何度も再生して、耳をすまして聞き取ります。それでも、早口だと母音が「アウ」だか「オウ」だかわからなかったりして、ストレスたまりまくり。

 万が一、その業界では有名人で、知らないのは訳者だけ、みたいなことになるのも癪なので、一生懸命調べます。いや、でもねえ……。

 

 

 

 頼むから、いつもお昼のサンドウィッチを買う売店のお兄さんの名前とか、疲れた時に癒してくれた亀の名前とか(一例です。お目にかかったことはありませんが)は、ぜったいに謝辞に載せないでくれえ……。

 

(M.H.)