翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

メモのとりにくい本

 原書のリーディングをしていて、レジュメの書きやすい本と、書きにくい本があります。 いや、レジュメが書きにくいというより、どんどんメモの量が増えていく本があるのです。本の長さとはあまり関係がありません。

 言い方を変えると、メモをたくさんとらないとレジュメが書けない本と、それほどメモをとらなくても、あとでチャッチャッとレジュメが書けちゃう本がある、と言うべきでしょうか……。メモをとらずに書けちゃうことさえあります。

 

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 もちろん、これは、その小説がどういうタイプの作品なのか、作者がどういう書き方をしているのかと関係があります。

 

 メモが増えるパターン。

 ストーリー展開が読めない作品。これが伏線になるんじゃないかと思うと、あれこれメモっておきたくなります。

 情景描写や心理描写、セリフにぐっとくる作品。描写そのものに作品の価値がある場合はメモっておきたくなりますねえ。

 小さな出来事の積み重ねで展開して行く作品。レジュメにまとめるのもこういうのは大変で、大筋は簡潔にまとめ、いいシーンをいくつか抜き出して付記する形式のレジュメにします。

 登場人物が多くて、しかも、役割分担が最初はあいまいな作品。いつ、だれが、なにを引き起こして、それがどういう重要性をもつのか、なかなかつかめないもの。

 作家のくせもあるんでしょうねえ。ねちねち書く作家は、メモが長くなるかも。ねちねち、というか、展開が遅いというか、遅ければ遅いで、逆にかいつまんで書けちゃうこともあるんですが、なんか、このスピード感とレジュメの長さは関係があるように思います。

 

 

 上の写真は、リーディングで使っているB5版のノートですが、中はこんな感じ。これは『ペーパーボーイ』のリーディングメモです。けっこうメモってますね。

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 先週から読んでた本も、300ページの原書にノート25ページ。これから、マーカーで、レジュメにする部分をピックアップしていきますが、果たしてうまくいくかどうか……。

 

 

 

 同業者のみなさん、リーディングの時、メモ、とってますか?

 

(M.H.)