翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

新刊予告、『ブライアーヒル の秘密の馬』

 今日はもうすぐ出る新刊の紹介です。

『ブライアーヒル の秘密の馬』、原題は "Secret Horses of Briar Hill"。小峰書店から、2月末に発売予定。澤田亜沙美さんとの共訳です。すでにアマゾンでは予約受付が始まっていますが、書影がまだ出ていないので、今日は原書の書影を。

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 左がイギリス版、右がアメリカ版。日本語版には左のイギリス版のイラストが使われます。

 作者はアメリカのYA作家、メガン・シェパード。第二次世界大戦中のイギリスの療養所を舞台にした物語で、主人公の少女エマが、鏡の中に翼のある馬を見ることからお話が動きだします。そのうちに、現実世界にも翼のある馬が現われ、エマとの交流が始まるのですが……。

 お話はファンタジックですが、戦時下の病気の子どもたちの心境が織りこまれていて、願望と現実が入り混じり、どこまでがエマの想像なのか読者にはわからなくなっていきます。テキストのあちこちにちりばめられた記述やエマの記憶の断片がつながっていき、クライマックスでは……。

 

 

 上の写真、イギリス版のすばらしいイラストを描いているのは、リーヴァイ・ピンフォールド。表紙だけでなく、本編にもたくさんのイラストが使われていますので、乞うご期待! ほんとうに素晴らしい挿絵で、この挿絵のためだけにでも手元においておきたくなる美しい本です。ピンフォールドさん、最近では、デイヴィッド・アーモンドの文章に挿絵をつけた、『ダム この美しいすべてのものたちへ』(評論社、久山太市訳)という絵本が日本でも翻訳されたばかり。ハリポタの20周年記念版、あの原色の表紙のデザインも彼だそうです。

 

 今回は、外大のずーっと後輩にあたる澤田亜沙美さんとの共訳です。澤田さん、モンゴルに馬に乗りにいくほど馬が好き。馬が出てくる作品を訳したいと言っていたことがきっかけで、一緒に原書を探し、もちこみ企画が実った作品です。共訳は初めてでしたが、いろいろな気づきがありました。その話は、いつかまた書いてみたいと思います。

 

 原書のカバーをとってみました。左がアメリカ版。そう、月の満ち欠けも関係しているんです。右がイギリス版。日本版も基本的にはこういう真っ黒な表紙に羽根のイラストになります。シックでしょ。

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(M.H.)