翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

イラクでの出会いから37年

 水曜日。37年前にイラクのバスラでお会いしたきりだったTさんと再会。宮崎から上京されたついでに、東松山まで会いにきてくださいました。

 当時まだ25歳だったわたしは、少し年上で、イランイラク戦争でアラビア湾にとじこめられていた商船のメンテナンスに来ていたTさんとお会いしたのでした。ほとんど忘れていたのですが、その後わたしが書いた手紙を、ご実家の整理の時に見つけ、Facebook経由でわたしにたどりつき、連絡をくださったのです。手紙は書くべきですね。というか、当時はSNSはなかったわけですが……。

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   船乗りだったTさんは、世界中をめぐった海の男で、今も多くの海外の方と交流を続けていらっしゃいます。イラクでのその時の話から、世界のあちこちでのTさんの武勇伝をあれこれうかがいましたが、2時間があっという間。ほんとうに楽しかった。

 さらに、宮崎在住でTさんのお友達の、イラク出身の画家の方とお電話でちょっとおしゃべり。どうして知り合ったかというのも、かなりドラマチックなことなのですが、割愛。イラクからクウェート、ヨーロッパを経てカナダへ、そして日本人の奥様と結婚されて、今は宮崎にお住まいの方です。今こうして日本にいる彼と電話で話をしながら、めぐりあわせはつくづく不思議なものだなあと思いました。イラク人の彼は、辛い目にあったとはいえ、祖国を離れて世界を転々としているわけですが、こうして宮崎にいることを幸せだと、おっしゃっていました。100パーセントの幸せではないはずですが、うん、たぶん、そうなんだろうな。

 

 

 一緒に来てくれたTさんの娘さんは、東大の博士課程で言語学の研究をされている方です。ずっとニコニコして、お父さんとわたしのおしゃべりをきいていてくださいました。あまり彼女の研究の話をうかがえなかったのですが、次に会ったらいろいろきいてみたい。

 

 ああ、Facebook やっててよかった。この一件だけでも、やっててよかった。

 

(M.H.)