翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

ビーナスラインからメルヘン街道(3)

 5月11日のツーリングレポート最終回。

 白樺湖から大門街道をぬけ、国道299号線、いわゆるメルヘン街道に入る。ビーナスラインは基本、標高が高いので、木も少なく、緑もまだ芽吹いていないものもあったが、白樺湖におりてくると緑満開、大門街道沿いはほんとうにきれいな緑だった。

 299は、どこがメルヘンだかよくわからないが、南八ヶ岳を白駒池のところで横断しているとてもいい道だ。299に入り、山にむかって登っていくと、右側にウッディな建物のレストランがあったので、昼食。ここが当たりだった。 

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「Paul’s Kitchen」という、オーストラリア料理の店。この国旗と地図をあしらった看板に誘われて入った。カウンターのところに飾ってあった地元紙の切り抜きを読むと、ご主人のポールさんはオーストラリア人、料理の勉強に行っていた奥様と知り合って結婚、むこうで飲食店を経営したのち、奥様の実家近くの蓼科に来て、この店を開いたそうだ。

 メニューはハンバーグやステーキ、ラザニアなどがあったが、ちょっと値段は高め。気さくな奥さんが、「ランチだったら、ハンバーガーとかどうですか」というので、それにしてみた。これがむちゃくちゃうまかった。値段は税込1250円と高いが、それだけの価値はある。出てきたハンバーガーを見たら、高さが10センチくらいあってびっくり。ハンバーグだけで2センチくらい厚みがある。しかもジューシー。バンズもおいしかった。食べるには苦労したが、豪快で、いかにもオーストラリアらしい。おいしい、というより、「うまい!」という感じ。写真をとりそこねたのが残念。ポテトチップスも大量で、しかも絶妙の揚げ加減だった。

 帰り際、ポールさんが厨房から出てきてくれた。「バイクですって」と奥さんが言うと、いきなり、「高遠がいいぞ。お城があって、コーナーがあって、桜の時期は……」と英語でまくしたてる。奥さんもさりげなく通訳してくれる。まあ、8割がたは聞きとれたが。

 なんでも、ポールさん、オーストラリアではバイクに乗ってたそうだ。カワサキの◯◯は良かった、というが、日本とは呼称がちがうこともあり、イマイチよくわからない。「Ninjaか?」と聞くと、「Before Ninja」とおっしゃる。どうもGPZのようだった。それから、ホンダのVツインのシャフトが乗りやすかった、と。うーん、なんだろう? GL系か? 「カワサキは暴れるが、そこがいい。ホンダはなめらかだ」と、しばしバイク談義。こんなところで外国の方とバイクの話ができるなんて。

 とにかく、ご夫婦ともにとても気さくで、ランチを食べに来ている近所の常連さんたちとも楽しそうに話をしていたのが印象的でした。メルヘン街道を西側から上がっていって右側です。皆さんも、ぜひ!

 

 さて、おなかいっぱいになったところで(ほんとうに、ハンバーガー一つとポテトで、あんなに腹一杯になるとは)、メルヘン街道を佐久側へぬけていきます。路面はひび割れに水が入って凍り、ひびが広がる、という状態で、順次補修しているらしいが、やはり荒れている。それでも、交通量はないに等しく、走りやすい。高度が再び上がるにつれ、緑が浅くなっていき、ところどころで桜が見られました。

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 その後、どんどん緑が減り、麦草峠あたりは常緑樹のシラビソの緑が目立つ。白駒池で止まり(有料駐車場、バイクは100円)、池を見に行く。ゴールデンウィークには相当の人が来ただろうに、国道から白駒池へ行く600メートルほどの道には、まだ雪がしっかり残っていた。

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 白駒池はあいかわらず静か。いつ来ても気持ちが安らぐ場所だ。人はだれもいない。

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 しばし静けさを楽しんだのち、佐久へ下る。141を北上、途中でナビの言う通りに141と並行する裏道を走り、内山峠へ続く道へ。ここは昔、清里に両親が住んでいた時に何度も通った道なので(ここはコスモス街道と呼ばれる)よく知っている。ただ、高速が開通したのちは、どんどん交通量が減り、店がつぶれていった。この日は、とくに下りを、高速代金を節約するトラックがばんばん走っていた。

 

 内山峠を越え、群馬側へ下っていくと現われる、この奇怪な形の山。「未知との遭遇」のデビルズタワーとよく比較されるが、荒船山だ。なんとも不思議な造形。

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 このあと、下仁田から高速に乗り、午後6時すぎに無事帰宅。

 白樺湖→(32km)→白駒池→(76km)→下仁田インター→(65km)→自宅で、計134km。

 全行程347kmでした。

 

 好天に恵まれ、しかも、あちこちで楽しい話ができて、最高のツーリングでした。

 W400は、車検でオイル交換していたせいもあり、快調。また、信号の少ないところばかりだったので、ちゃんと計算していないが、燃費も25キロ以上、27〜8キロ出ていたかもしれない。でも高速では、やはり100キロ巡行は長時間はつらい。

 

 東部湯の丸のBMWサイドカー乗りの方、高原美術館のCB400さん、蓼科のポールさんと奥さん、ありがとうございました。(M.H.)