おかげさまで、『ウェストール短編集 真夜中の電話 (児童書)』の重版が決まりました。これで気になっていた「トウモロコシ畑」を「麦畑」に直すことができます。といっても、初版の中身が変わるわけではないので、そこは申し訳ないのひと言なのですが……。
トウモロコシと麦の話はこちらの過去記事を参照してください。
というわけで、先日、ほぼ1日かけて、初版を読み直しました。あまり時間がなかったので、原文との突き合わせまではさすがに無理ですが、訳文の読み直しでいくつか流れが悪いところや、気づいたところをマイナー修正しました。10箇所ちょっとですが。
そして、その中には、もうひとつ翻訳勉強会で問題になったところで、やはり誤訳と思われる箇所が見つかりました。麦畑問題と同じ「ビルが『見た』もの」の中の記述です。
104ページに、「バーバラの婿だな。」というビルのせりふがあります。原文は "Our Barbara's lad" です。このバーバラがだれだか書いてないので、our があるので親戚だろう、ビルの娘ではないかと推測しました。そして、lad は本来「若者、息子」なのですが、パイロットなのだから、年齢からしてバーバラの「夫」、すなわちビルからすれば「娘婿」ではないかと推測していたのです。lad には「男」という意味もあるので。
しかし、あとで、ハーマイオニーという娘のことをビルが述懐している箇所があり、そちらでは、このバーバラのことに何も触れていないのです。こことの関係を見落としていました。ということは、バーバラは娘ではなく、それ以外の親戚(いとこや姉妹か)であり、lad はやはり「息子」だろうと思います。したがって、以下のように修正する予定です。
104ページ、11行目 「バーバラの婿だな」→「バーバラの息子だな」
同じく、13行目 「ビルの娘婿の」→「若いパイロットの」
すでにお買い上げの方は、以上のように読み替えてください。申し訳ありません。
また、「ビルが『見た』もの」の中の「トウモロコシ畑」は「麦畑」に、また、「羊飼いの部屋」の中にも「トウモロコシ用の麻袋」という記述があるのですが、これは、ただの「麻袋」に訂正します。あとは事実関係が変わるような訂正は予定していません。
今回は、勉強会のお陰で細かく読み直しができた部分を訂正することができました。本来なら、出版前に気づくべきところです。次の作品は、いっそうの注意を払って翻訳に臨みます。
(M.H.)