『地理用語集』、『高校地学』、『中学理科』、ウィキペディアのプレートテクトニクスの項目のコピー……これが自分の机の上とは思えません。
3月に入ってから、子どもむけの、そして大人が読んでも楽しい、絵入りの科学ものの解説絵本というか、そういうものを訳しています。これがなかなか難しい。けれど、おもしろい。今までと脳みその使う場所がまったくちがいます。
小説を訳している時は、疲れるとまったく進みません。読みちがいはするし、いい訳語は湧いてこないし……。でも、こういうノンフィクションというか、科学ものだと、疲れていても作業ができる。できるというか、まずは書いてあることを論理的に理解するために、トピックを(たとえば、プレートテクトニクスとか、たとえば、火山とか、竜巻とか、地球の自転とか、熱帯雨林とか……)おおまかに把握する必要があります。こうした調べものは、小説で主人公の気持ちを考えて、それをどう日本語にこめるかを考える時の脳の使い方とはまったくちがう。そして、それは疲れていても、やれと言われればできる、という感じでしょうか。
ノンフィクションの翻訳や実務翻訳をしている人の気持ちが、ちょっぴりわかった気がします。そして調べ物の苦労はありますが、なんか、毎日パワーアップしてる気がします。終わるころには、センター試験の地学や地理でけっこう点がとれるようになってるんじゃないだろうか? そう言ったら、職場の塾の担当の先生に、「甘い!」とバッサリ……(笑)。
でも、腕の見せどころは調べ物の先にあります。子どもたちがわくわくしながら読める日本語にしなきゃね。
(M.H.)