翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

いまいち、のわけ

 原書のリーディング。レジュメには、あらすじをまとめたあとに所感を書きます。作品の出来がいい時、悪い時はそう書けばいいのですが、悪くはないのに、なぜか感動しない時は困ります。

 いまいち、の時ですね。

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(ナツツバキ(夏椿))

  まとめたあらすじを読み返すと、悪くない。いや、これだけ読むと、かなりいい作品に思える。でも、読んでいる最中も、読み終わってからも、ワクワクしなかった……。

    なぜなのか探っていきます。スピード感がないのか、語彙が難しくて自分の読解力では良さがわからないのか、脇役たちに魅力がないのか、設定に穴があるのか、ページ数が多すぎるのか……。

 

    それとも、ただ、自分の趣味にあわないのか。

    世の中で面白いと言われている本や映画の、2作に1作は面白いと思えないわけで、こればっかりはどうしようもない。でも、編集さんやほかの読者のために、しっかりレジュメは書きましょう。

     過去に経験があるんですよねえ、リーディングの時、いまいち、って言ったのに、編集さんがやりましょうって言って、訳したらとてもいい作品だとわかったことが。逆もあります。とても面白いと言って、訳させてもらったらスベったやつも……。

 

    でもしかたありません。だって、今のところ、ピンとこないんですから。分析できればそれにこしたことはありませんが、あるじゃないですか、うまく説明できない時って。

(M.H.)