翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

迎え火

    13日。帰省先での迎え火。

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 思いのほか威勢よく燃え上がる炎に、幼い孫たちはおびえて、それぞれの親にしがみつきました。日の落ちかけた雲ひとつない夏空を見上げて、だれかが、「じいじ、見えるかな?」とぽつり。

 

 井桁に組んだ薪の中で、節つきの竹が、パーンと盛大な音をたてて破裂します。一度。二度……。

 いっそう強くしがみつく幼い子に、「こんだけ大きな音がしたら、お空の上でも聞こえるやろ」と言ってやります。

 そう、きっと聞こえたはず。

 

 その後、親戚で食事会。

 出てきた料理を見て、「卵が大好きでねえ、卵を割りはじめると、決まって台所に来て、『わしがこしらえる』って」

 

 この日、結婚したばかりの娘さんは、優しそうなだんなさまを連れてきていました。

 

「お正月に、また集まれるといいね」

「そうやねえ」

 

(M.H.)