拙訳『ハーレムの闘う本屋』が高校の部の課題図書になっていたので、昨日、大手町の経団連会館でひらかれた表彰式に出席してきました。
今回は全国で4百万を超える応募があったそうで、すごい規模です。対象となる小中高生の三分の一が書いた計算になるそう。感想文の指導にはいろいろ問題点もあるとは思いますし、自分も感想文を書くのは好きではなかったので、全面的に肯定できないのですが、でもやはり、子どもたちの読書活動に一定の役割を果たしているとは思います。
また、いつも表彰式に来ると、わたしの訳書を読んでくれた子どもたちに会えるのが楽しみです。今回は、二人の高校生と話ができました。
一人は石川県の高校三年生、木下那能子さん。「受験で大変でしょう?」とたずねたら、推薦でもう大学は決まっていて、理系の学部に進むそうですが、本も大好きだそうです。一年留学経験もあり、プレゼントにもっていった『ハーレムの闘う本屋』の原書『No Crystal Stair』をわたしたら、ほんとうに喜んでくれました。
もう一人は山梨県の高校一年生、小林栞南さん。朝ドラの『花子とアン』で有名になった村岡花子さんの母校、山梨英和高等学校に通っています。付き添いの先生から、『ハーレムの闘う本屋』は、課題図書になる前から図書室に入っていて、生徒たちに読まれていたとうかがって、それもうれしかった。
二人の感想文は、この作品の内容を咀嚼して自分に引きつけた、とてもいい文章でした。そして、知識の大切さ、自分の道を切り開いていく意志などをテーマにしたこの本を、日本の子どもたちのために翻訳できてよかった、と改めて思いました。
そのほか、受賞者を代表して感想文を朗読した徳島県の小学三年生の女の子のかわいかったこと(四国の言葉がよかった。方言はその人の中から出ている感じがしていいですね。下のリンクで、朗読の様子がみられます。)、それを受けての『さかさ町』の訳者、小宮由さんのスピーチもよかった。
さくまゆみこさんともようやくお会いできたし、そのほか、翻訳者の方や出版社の方とご挨拶できてよかった。
また、いろいろ、がんばろうと思いました。
(M.H.)