翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

第三回日本翻訳大賞授賞式

 今年も最高に楽しくて、濃密で、翻訳愛に満ちた二時間でした。

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 最終候補に『ペーパーボーイ』が残ったこともあり、何を言われるかドキドキでしたが、そのうちそれも忘れ、藤井さん、松本さんの朗読、柴田さんとお二人の対談に引き込まれました。

 以下、心に残ったこと、メモ書き。

 

 朗読と音楽のコラボレーションが、毎回、精度を増していて、藤井さんの『すべての見えない光』のラジオのチューニング音まで再現されていたこと。西崎さん、グッジョブ!

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(これは松本さんの朗読。)

 

 藤井さんが、ドーアのこれまでの岩本訳に寄り添うように自分の訳文を推敲したこと。これはできそうでできない、と思う。とくに物の描写の多い前半では、読者の読むスピードをコントロールするためにも(確かにそうで、すごく読むのに時間がかかる)、読点を増やしたのだそうだ。また、原文どおり、すべて現在形で訳したのも、岩本ドーアの踏襲なのだそうだが、うーん、人の訳によりそうのは大変そう。

 

 それにしても、藤井さん、若いです。1980年生まれですよ。わたしが大学を卒業した年だ。すでに英米文学翻訳のホープです。

 

 去年も金子さんと関口さんが好対照でしたが、今年も、藤井さんと松本さんは、なんか、いい感じにちがってて、おもしろかった(失礼)。

 

 松本健二さんと懇親会で話をしたら、『ペーパーボーイ』を読んでくれていて、「ssss─」の「s」4つが、スピロさんの言う、4つのSから始まる言葉とかけていることを指摘してくれたこと。鋭い! それにしても、松本さん、一見、あっちの人みたいで強面なのに、話すとすごくフレンドリーでした(笑)。

 

 金原先生のクラスで同級生だった、歌人の佐藤弓生さんと20数年ぶりに会えたこと。お互い、全然変わっていないね、といいながら、やっぱり、変わってるな、と。今は、翻訳はやっていないそうですが、短歌では第一線にいらっしゃいます。

 

 三回連続受賞の白水社の編集さんお二人、『わたしの知らない母』でお世話になった藤波さんと金子さんに、今年もお会いできたこと。

 

 懇親会のあと、『ペーパーボーイ』の編集者、須藤さんと二人で祝杯を。一時間ばかり、翻訳やYAの話ができて楽しかった。須藤さん、いろいろありがとうございました!!

 

 

 とにかく楽しすぎる2時間+αでした。来年もまた!!

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(M.H.)

 

 前二回の授賞式の記事はこちら。

haradamasaru.hatenablog.com

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