翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

今なぜ『君たちはどう生きるか』なのか

「日本児童文学」の9・10月号の特集です。

 野上さんの「コペル君とその時代から」は、戦前・戦中・戦後の児童文学者たちの実情を丁寧に解説してくださっています。少し身が引きしまりました。

 頼まれて、『ハーレムの闘う本屋』にからめ、「知識こそ力」というエッセイを寄せました。

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『君たちはどう生きるか』のおじさんとコペル君の関係は、『ハーレムの闘う本屋』に登場するミショーさんと黒人の少年とのやりとりに重なります。こうしろ、ああしろ、ではなく、なんのために生きるのか、勉強するのか、そういうヒントを与えるような大人でいたいですが、なかなかむつかしい。

ハーレムの闘う本屋

 

 

 お隣りは宇野さんのエッセイです。

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「「あした」はいつやってくるのか」とありますが、フランコ独裁後に出た、スペインの社会絵本シリーズの紹介です。日本でも来年翻訳が出るそうですよ。全四巻「民主主義ってなに?」「これが独裁だ!」「社会格差とは」「女と男」という内容らしい。このタイトルの並び、まさしく、今の日本人が読むべきじゃないですか? ぼおっとしてると、変な国になっちゃいますよ。

 

 今朝の朝日新聞です。

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 スペインというと、パエーリャとかフラメンコとかサッカーとか地中海とか、明るいイメージしか浮かばない人も多いと思いますが、この内戦の傷跡は深いんだろうなあ、と思います。ちょうど、スペイン内戦が描かれた本を訳しているので、少しそのあたりのことがわかってきました。外国との戦争も大変ですが、内戦はほんとにつらい。

 

 と、書いているときりがないので、この辺で。

 

 あ、『日本児童文学』は、図書館にもあると思います。ぜひ!

 

(M.H.)