翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

Fくんからのメール

 先週、中学生のFくんから、このブログあてにメールをもらいました。

 内容は、『ムシェ 小さな英雄の物語』を読んで翻訳について興味が湧き、さらに、この本について書いたわたしのブログの記事を見つけ、訳者の金子奈美さんや編集者さんに聞きたいことがあるので、連絡をとってもらえないか、という趣旨でした。

f:id:haradamasaru:20160418151933j:plain

 こういうメールはうれしいですね。さっそく版元の白水社さんに連絡すると、快く金子さんに繋いでもらえました。いったい、どんなやりとりが行なわれるのか興味があります。しかし、この作品は中学生にとってかなりハードルが高い、というか、わたしにとってもすんなりわからないところがたくさんあって、いったいFくんはどんなところに惹かれたのでしょうか?

 

 

 それはさておき、こうして中学生からメールをもらえたことがとてもうれしい。

 このブログの目的は、過去に翻訳について書いたものを皆さんに読んでもらい、新たに言いたいことを書く場を作ることでした。そして、わたしの連絡先であり、読者や編集者や他の翻訳者とのコミュニケーション窓口とすることでした。

 そして、今回のFくんのように、若い読者から直接コンタクトしてもらえたらとてもうれしいのです。児童書やヤングアダルト作品の翻訳をしているというのに、なかなか、若い読者から直に意見や感想を聞くことができないことをもどかしく感じています。

 海外の児童書やYAの作家さんたちは、学校訪問や読書会、座談会、サイン会などで、さかんに若い人たちと交流していて、うらやましいとよく思います。また、海外では若い読者も積極的に書評サイトに感想を書きこんでいます。ズタズタに批判されるのはつらいけど、とくに若い人たちの感想は知りたい。

 若い読者に読んでもらいたいと思って本を作っているのに、最後に十代の人たちと本の話をしたのはいつだっけ、と考えなければ思い出せないくらいなのは、なんだか空回りしてるんじゃないかと心配にもなる。

 

 中高生のみなさんがブログのメアドにメールを出すことはためらわれるかもしれませんし、そもそも、このブログを読んでる人は少ないと思いますが、待ってますよ、メール。

 

(M.H.)