昨日は、池袋で平日の夜に始めた勉強会でした。
課題はロバート・コーミアの短編集、 "8+1" の一編です。コーミアは、読む分には面白く読めるのですが、いざ訳すとなると、細かい部分を正確に日本語にするのに難儀します。
初めて訳文を拝見する方もいるので、それぞれ文章にどんな特徴があるのか考えながら読むのが、こちらとしては楽しくもあります。訳文を読むと、少しずつですが、どういう人かわかってくる、とまではいきませんが、多少なりともお近づきになれるような気がするのが不思議ですね。
「文は人なり」ですが、翻訳においては、原文に応じてカメレオンのように文章を変えなければならないところがむずかしい。作中に入りこまないと興奮や情熱はつかめないけれど、文字にする時は冷静に。いや、冷静にはなりきれないところが訳者の個性になるのかな。
会のおしまい30分は、テキストを離れて、翻訳のことをあれこれ話す時間にしているのですが、昨日は、「自分の日本語になっているか」と「言語は論理的なものだ」ということをネタにあれこれ。こちらも面白かったです。
テキストを訳すのも大事ですが、文学や言語のあれこれや、翻訳という作業・仕事について自分なりのスタンスや思いをもつことは、じつは同じくらい大事なのではないかと思います。
(M.H.)