翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

"The Book of Hopes"

 イギリスからとどきました。拙訳『オオカミを森へ』の原作者、キャサリン・ランデルさんが、イギリスの子どもの本の作家たちに呼びかけて、イラストやショートショートを無償で寄稿してもらい、売上をコロナで大変な医療機関への寄付に回すために作った本です。

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  ランデルさんは、まだ若いし、イギリスの児童文学会の偉い人というわけでもないのに、こういう呼びかけをして、それを手伝う出版社があって(Bloomsbury)、作家たちがあっという間にそれに答えて本になるのが、ちょっとすごいな、というか、いいなあ、と思っていました。ざっと数えて、その数130人以上! 380ページ、写真のように、すっくと立ちます(笑)。

 名前を知っている人をあげると、ランデルのほかに、マイケル・モーパーゴ、フランク・コトレル=ボイル、アンソニー・ホロヴィッツ、デイヴィッド・アーモンド、ジャクリーン・ウィルソン、アナベル・ピッチャー、エマ・チチェスター・クラーク、エミリー・サットン、サラ・クロッサン、ジェラルディン・マコーリアン、ヒラリー・マッケイ、サリー・ガードナー、マーク・ハッドン、ミシェル・ペイヴァー、アビ・エルフィンストーン、アンソニー・マッゴーワン……。たぶん、この本で、現役イギリス児童書作家リストができるんじゃないでしょうか。

 

 今ならまだ、ウェブ上で無料公開しています。紙の本のほうが、収録作品は少し多いですが、ほぼ入っていますよ。Animals, The Stars, Kindnesses, Dogs, Cats, Insects and Bugs などなど、テーマごとに分けてあります。だいたい、一編が、1ページから3ページ程度。どこから読んでもいいようになっています。ロックダウンで、家にいる子どもたちに届けよう、という発想。

literacytrust.org.uk

 

 寄付の関係で、日本では翻訳出版がむずかしいようですが、どうぞ英語が読める方は、今のうちなら、ただでウェブで読めます。

 

(M.H.)