翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

森喜朗オリパラ組織員会会長発言から考えたこと

【森氏は、東京オリパラ組織委員会の会長でした。JOCの会長は山下さんです。訂正します。】

 森会長の釈明会見(?)はひどかった。一連の自民党議員の不祥事と根は同じで、要するにあの人たちは人事権や補助金獲得や誘致の口ききを通じた旧来の支配構造から抜け出ていないんでしょう。

 辞任すればいいというものでもないけれど、辞任は最低条件でしょう。

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(近所の紅梅。せめて写真は美しいものを。)

  問題点や着目点はたくさんあります。

 まず、「発言」は「撤回」できません。命令や指示や決定は撤回できるけれど、言ったことは撤回なんてできない。「晩飯はカレーにしよう。いや、やっぱ、焼肉だ」はいいですよ。「お前がいると飯がまずいな。あ、ごめん、言わなかったことにして」はダメでしょ。

 認識がまちがっていたことを認めて謝罪するしかない。腹の中でそう思っているから口がすべるわけで、だから、再教育しないといけません。ご高齢なので、それはむずかしそうなので、隔離かな。

 

 あと、あのひどい記者会見で森会長の逆ギレを引き出した、というか、本性を明らかにしたTBSラジオの澤田大樹記者の質問こそが、本来のジャーナリストの政治家への向き合い方だということ。わたしはTBSラジオの荻上チキさんの番組を夜の時間帯で放送している時からずっと視聴しているのですが、彼の番組で、いつも国会担当の澤田記者の報告を聞いていて、じつに冷静で、理知的な記者さんだとずっと思っていました。

 じつはTBSラジオの国会担当記者は澤田さん一人しかいないそうなので、なかなか取材も大変そうですが、いつもその冷静な報告や分析に感心していました。今回の会見での森会長とのやりとりは、そうとう過激に聞こえたかもしれませんが、あれがあるべき姿です。ほかの記者があまりにも腰が引けている。

「あなたはどう思いますか?」の逆質問に、間髪入れず「お辞めになるべきだと思います」と返したところは痺れましたね。感情的になってもいいところを、(荻上さんとあらかじめ練った質問もあったそうですが)聞くべきことをきちんと聞いていました。

 裏返すと、今の国会記者クラブのあり方がひどいということがよくわかります。今回も、森さんはJOCの会長であったから、ああいう場でのやりとりができたわけですが、安倍政権以降は、首相会見には、国会担当のTBSラジオの記者でも、くじ引きで当たらないと出られないのが現状なのです。菅首相はもっとひどい。そもそも会見をずっとひらかなかったんだから。もう、民主主義国家とは言えません。

 澤田記者、応援してます。

 

 ジェンダーの問題について、ほんとうに森さんの無知・無理解はひどいものです。バイデン大統領の、というか、アメリカ政治の復元力のすごいところは、あっという間に政権中枢に女性を次々に据えたところ。IOCは理事のジェンダーについては非常に敏感だそうで、女性の割合の基準を示しているのに、なんにもわかっていない。夫婦別姓の問題もそうだけど、自民党の一部の人たちの旧態依然の考え方は、もう世界から2周くらい周回遅れになっていると思います。というか、反対向きに走ってる人がいる。

 

 ただね、どうして自民党が政権から降りないかと言うと、やはり地方の問題じゃないかと思います。今回のコロナ対応だって、我々大都市圏に住むものにとっては、なにやってんだ、ということで、自公政権への反発が高まっていると思いますが、比較的軽微に被害をおさえている地方の人たちにとっては、またちがう見方があるはずです。ここはね、ほんとうにむずかしい。

 ああ、話が広がりすぎるので、この辺で。

 

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 うちの近所です。むむ。この写真だと、埼玉も「地方」ですね。

 

 水を見ると、少し落ち着きます。

 

(M.H.)