翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

芳野さんのリトグラフ

『春のウサギ』の装画を描いてくださった芳野さんのリトグラフがとどきました!

 タイトルは「à table!」(ご飯ですよ!)

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  タイトルをうかがうまでは、どこかの寄宿舎みたいな建物で、窓はそれぞれの部屋で、もしかしたら閉じ込められていて簡単には出られないようなところなのかも、と想像していました。4つの窓のうち2つに人影が見えるのと、屋根の緑色や壁の白とそこにかすかに見えるぐるぐる模様とか、全体のイメージが少しさみしそうで、見飽きない版画だな、と思ったから欲しくなりました。浅葱色というのか、この屋根の薄緑は昔から大好きな色です。

 でも、芳野さんから、「ご飯ですよ!」というタイトルだとうかがって、そういえば、煙突からもくもく煙が出ているなあ、と気づき、なんだか料理の匂いがしてくるような気もして、ちょっと印象が暖かいものに変わりました。タイトルも作品の一部だなと改めて思ったしだい。

 

 額をかける場所を調整する時に、左に貼り直した古い絵葉書2枚を読み直しました。2枚とも編集者さんからのハガキ。上はもう亡くなられたYさんから、下はUさんが海外出張前に成田行きのバスの中で書いた(まだスマホなかったしね)『弟の戦争』の訳者あとがき依頼でした。これはもう護摩札みたいなもので、貼り直す前に拝みました。

 

(M.H.)