シン・ソンミさんの絵本、翻訳は清水知佐子さん。なんてきれいな絵。韓国の伝統的な画法なんでしょうか。登場人物たちが着ているのは韓服? お隣の国のことなのに、ほんとうに疎い。
熱が出て寝込んでいる男の子の前に、ちいさな、やはり韓服を着た女性のようせいたちが現われます。大人になると見えなくなってしまうようせいたち。
小人ものは好きです。
ちいさな人たちの仕草に愛嬌があって、かわいらしい。この人たちは子どもではなく、姿は大人の女性たちで、そこもなんだかいい。
今の韓国の人たちは、日常的にこういう服装ではないだろうから、少し昔の設定なんでしょうか。なのに、どこかモダンな感じがします。絵の描き方かな。背景はベージュ一色、日本画と通じる雰囲気ですが、たぶん伝統的な韓国の絵の描き方なんでしょう。背景が描かれてないのに、作品世界がちゃんと感じられます。エッセンスが抽象化されて、自分の記憶や思い出と重なる感じ、といえばよいか。
結局、自分はお隣の国のことをよく知らないのがわかりました。韓国映画やドラマのファンのみなさんは、きっとまた別の感想や着眼点がもてるのでしょうね。
細かくて丁寧な絵は、子どもに媚びていないように感じるけど、きっと、作者は子どもにはこの良さがわかると信じてるんでしょう。やわらかな訳文。ようせいたちの言葉にはデザイン上の工夫がされています。ぜひ、実際に見て、読んでほしい。
熱が出て学校を休み、明るい部屋で横になり、ぼうっとしていた小学生のころを思い出しました。あ、そうか、ベッドじゃなくて、床に布団なのがなつかしい気がした原因かも……。
一番いいなあと思ったページは、うとうととしたお母さんが、だんだん、ほら……、あの見開きのところ。
みなさんも、ぜひ!
(M.H.)