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翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

原子と元素はどうちがう?

翻訳の周辺

 うーん、宇宙はむずかしい。銀河と銀河系のちがいはわかったのですが、原子と元素はどうちがうんだろう?

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 そう、広大な宇宙の話は、なぜか極小の原子や素粒子の話になるのです。

  で、原子と元素のちがいがわかり、原文がなにを言いたいのかわかるのに、なんだかんだで1時間以上かかりました。厳密にいうと、原子と元素と単体の話ですが。英語では、atom、element、simple substance です。

 しかし、その後、重力と引力のちがいに手こずりました。というか、依然として手こずっている。重力は gravity 、引力(万有引力)は universal gravitation らしい。電磁力などもふくめた引力は attraction。だが、gravity は、時に重力、時に引力と訳さなきゃならないようだ。宇宙の話をしている時は万有引力のことを重力と言うらしい。一方で、地学の教科書には、地球の重力は引力と遠心力の合力だ、とはっきり書いてある。ふむ。

 universe と space のちがいは? cosmos は? ダークマターって暗黒物質っていうけど、ほんとに物質なの? ブラックホールって、世紀の大発見のはずなのに、「黒い穴」ってネーミングはないでしょう。ビッグバンは「大爆発」なのに、ほんとは爆発じゃないらしい……。

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 先日も書きましたが、どうも英語は日本語よりも文脈による多義性が強いような気がします。いや、日本語だって、こんな科学的な用語にも意味のゆれがずいぶんあることがわかります。小説はもちろん、科学の解説もやっぱり文脈ありきなんですね。

 子ども向けの本で(いや、だからこそ、かも)こうなんだから、専門書の翻訳や、最先端の特許翻訳なんて、いったいどんなことになってるんでしょう。まず内容を理解するのがむちゃくちゃ大変だと思います。実務翻訳者の苦労がほんのちょっぴりわかった気がします。

(M.H.)