翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第39回 "Little Princess"

★『小公女』大好きでした。この回でふれた古典児童書を読む会は今も続いていて、次回の課題本は『若草物語』です。4人の中では、ジョーが一番好きでした。『若草物語』もいろいろな訳者が訳していて、その違いも楽しむことができます。ただ、今の子どもたち…

夏の終わりに

先週土曜日の読売新聞夕刊、「空色ブックガイド」のコーナーで紹介したのはこの2冊。 『夏の庭 ─ The Friends ─』(湯本香樹実作、新潮文庫) 『ペーパーボーイ』(ヴィンス・ヴォーター作、原田勝訳、岩波書店) テーマは「夏の終わりに」でした。

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第38回 歴史的現在 (その2)

★この回では、日本語の語尾のいわゆる過去形・現在形に、読者や視点人物と、描写対象とのさまざまな距離感を調節する役割があることを説明しています。意識せずにこうした操作をしていることがほとんどですが、言われてみるとおもしろい現象です。(2017年08…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第37回 歴史的現在 (その1)

★結局、この回で言いたいことは、文末の処理の話。リズム感やスピード感の操作、あるいは人物の性別、年齢、あるいは性格の表現まで、文末は多岐にわたる役割を負っています。(2017年08月27日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第36回 翻訳は芸術か? (その4)

★文芸翻訳はやはり「表現」活動だと思います。「作業」だと思ったらおしまい。能動的な芸術活動だと考えた方がいい。(2017年08月27日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 大それたお題で、よくもこんなに長々と書いたものだと思いますが、…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第35回 翻訳は芸術か? (その3)

★翻訳をする時、あるいは翻訳学習において、あるべきひとつの正解にむかって日本語を考えるのではなく、自分なりに表現しようとすることが大事ではないでしょうか。「模範解答」なんてない、と思ったほうがいい。(2017年08月26日「再」再録)★ ーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第34回 翻訳は芸術か? (その2)

★文学は、いや文章は、平面上に記された文字という記号の連続で、よほどの速読術の達人でない限り、読者は一文字ずつ、順にたどっていくことしかできません。つまり、絵画や彫刻といった空間を占める芸術とちがって、文学は読者の「読む」という行為によって…

「空色ブックガイド」

4月から、読売新聞に「空色ブックガイド」と称して、なかがわちひろさんと交代で、毎月第4土曜日の夕刊にYA文学の紹介文を書かせてもらっています。 今週土曜日、26日の夕刊はわたしの番。どの本をとりあげたのかは、新聞が出るまであかせないのですが、…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第33回 翻訳は芸術か? (その1)

★大上段にふりかぶったタイトルですが、一度は考えておくべき問題ではないかと思います。「文芸翻訳」は、「文学翻訳」と言ってもいいかもしれません。自意識過剰だと言われるかもしれませんが、フィクションを翻訳する時、当然、自分は文学に携わっているの…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第27回 かな漢字のこと

★表記にこだわるわけは、最初に編集者さんに訳稿を出す時に、できればそのまま本にしてもいい形にしておきたいからです。もちろん、そんなことはできるわけはないのですが、それでも、そういうつもりで原稿を整えたい。そうすると、かな漢字の表記だけでなく…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第28回 "healing" は「癒やし」か?

★原書に何度も出てくるある単語を、日本語でも一つの訳語に統一して訳すのがむずかしいことは、第23回「"very"はとてもか?」の回でも触れました。この回では、さらにそれがキーワードに近い言葉なのに、訳語を統一できなかったケースを扱っています。簡単に…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第25回 サッカーを訳す

★昨日は土砂降りの雨の中、埼玉スタジアムに行ってました。最後、危なかったですが、レッズはFC東京に勝ち、とりあえずひとつ順位を上げました。堀体制になって、気のせいか、選手がのびのびやっているように見えます。ダービーには勝てなかったものの、シャ…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第24回 インチとセンチ

★結局、日本の作家が書くとしたらどう書くか、その状態にできるだけ近づけよう、ということなのだと思います。(2017年08月19日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この回で例としてとりあげたのは、『王国の鍵4 戦…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第23回 very は「とても」か?

★もちろん、very は必ず「とても」と訳すわけではないのですが、自分の訳本を調べたら、それが如実にわかったので、ちょっとびっくりしました。そう、機械的に訳語を決めてはいけません。と、自分で言いながら、つい……。(2017年08月18日「再」再録)★ ーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第22回 出だしは力が入るもの

★出だしが読みにくいと、読んでもらえない(買ってもらえない)んじゃないかと心配になります。原作者も、きっとかなり力を入れて書くんじゃないでしょうか。まずは1ページ読ませないと、そして、そのページをめくってもらわないと。(2017年08月17日「再」…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第21回 タイトルはだれが決める

★九月刊行の『オオカミを森へ』は、原題が "Wolf Wilder" なので、パターン②の「原題直訳」と、パターン③の「新しいタイトル」の折衷ですね。体言止めではないので、『明日に向かって撃て』型、いや、助詞で終わっているので、『去年マリエンバートで』型か…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第19回 第二外国語

★九月に出る新刊、『オオカミを森へ』(キャサリン・ランデル作、小峰書店)では、ほんの少しロシヤ語が出てきます。ほんの少しね。あれくらいなら大丈夫。(2017年08月15日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーーーーーー 第二外国語、に遭遇したのは、大…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第18回 リーディングのディテール(その3)

★リーディングは、翻訳書という形ではあれ、本を世に出すための第一歩と言ってもよく、もっと大切にすべき仕事ではないかと、この頃強く思うのですが、どうでしょう? 出版社も、そこのところをもっと真剣に考えてほしい。(2017年08月14日「再」再録)★ ー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第17回 リーディングのディテール(その2)

★この回で「すべてのレジュメは主観的」と書いていますが、ほんとうにそうだと思います。その「主観」が、世間とズレているかどうかは、また別問題ですが、ズレていてもいいんじゃないでしょうか。(2017年08月13日「再」再録)★ーーーーーーーーーーーーー…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第16回 リーディングのディテール(その1)

★リーディングとは、結局、原書を読むこと。そして、どこがどうおもしろいと思うか、思わないか、を文章にすること。(2017年08月12日「再」再録)★ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー リーディングとは、原書を読んで作品を評価し…

夏休み

今日から夏休み。 ここは北海道の、とあるカフェの窓から見た風景です……。 と言いたいところですが、昨日、昼ごはんを食べに行った、市内のカフェレストランでした。家から車で5分。同じ団地の奥さんがウェイトレスしてました。どんだけ田舎にあるんだ、我…

堀レッズ、初勝利!

Jリーグ第21節、AWAY vs ヴァンフォーレ甲府(DAZN観戦) 0−1◯ (19’ 柏木) 前節は、ミシャ解任後初の試合、しかも埼玉ダービーといういやな巡り合わせで、ミスによる失点で引き分け。ほろ苦い再スタートだった堀レッズ。昨日も、楽勝ではなかったが、…

『BOOKMARK 08』

翻訳小説の紹介冊子、『ブックマーク』08号が届きました。 今回のテーマは「やっぱり新訳!」 内容は、ずばりそういうことです。 入手方法はこちらを。おいてある書店の一覧と、送ってもらう方法が書いてあります。 【 金原瑞人オフィシャルホームページ BOO…

日本YA作家クラブ

昨日に引き続き、「クラブ」のことを。今日は「日本YA作家クラブ」です。 このクラブは、ヤングアダルトむけの作品を発表している作家・翻訳家の集まりで、作家の梨屋アリエさん、翻訳家の金原瑞人さん(というか、わたしの師匠ですが)らが発起人となって…

やまねこ翻訳クラブ

昨日は、やまねこ翻訳クラブの方々からインタビューを受ける形で、翻訳について、たくさんおしゃべりしてきました。

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第15回 ペーパーバック百冊

★この記事を書いたあとも、少しずつ本は増え、しかも、そのうちに、「あっ、翻訳されちゃった。やっぱり面白かったんだ、すぐに読んでおけばよかった……」という原書がたまっていきます。でも、たぶん、これは必要な投資なんだと思います。ピンポイントでとり…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第14回 「です・ます」調のこと

★この作品は、章が変わるごとに、老いた女性の語り手の文を「です・ます」調で、十代の男の子が語り手の文を「だ・である」調で処理するという、とてもやりがいのある翻訳作業でした。こういうの、じつは、けっこう好きです。うまく行くと、文章に味わいが加…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第13回 キャラクターの訳し分け

★セリフによるキャラクターの際立たせ方はとても面白い翻訳作業です。自分は、どこでこういう技(?)を身につけたのかと考えてみると、読書体験はもちろん大きいのですが、中高生のころ、毎日のようにテレビで見ていた洋画劇場の字幕や吹き替えのせりふに基…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第12回 戦争を知らない子どもたち

★8月になると、この記事を自分でも読み返したくなります。イラクもISからの解放が見えてきましたが、今度は、その後が、また大変でしょう。記事の中で、わたしが訳した戦争をあつかった児童文学を挙げていますが、このあとも、『フェリックスとゼルダ』、『…

コラム「再」再録「原田勝の部屋」 第9回 翻訳の際の心がけ ── その4

★「自分の日本語」という表現は、傲慢な気もしますが、でも、自分の翻訳した本はすべて自分の言葉で成り立っているのだと思うことは、とても大切だと思うのです。(2017年08月02日「再」再録)★ 『レトリック感覚 (講談社学術文庫)』と『レトリック認識 (講…