翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

フェローアカデミー通信講座募集開始

 少しあいだが空きましたが、フェローアカデミーの通信講座、マスターコース「ヤングアダルト」を担当します。くわしくはこちらを参照してください。今日、12月2日から募集開始しました。

https://www.fellow-academy.com/home/mastercourse_youngadult/

 

 

 例によって、短編を3回でひとつ、全6回で2編訳します。ひとつめはおなじみ、マイケル・モーパーゴのミステリアスな短編を、ふたつめは、イラクルーツのイギリス在住作家が書いた、救助犬を語り手にしたちょっと変わったテイストの作品を扱います。どちらも今から試訳を作るのが楽しみな作品です。

 定員10名で選抜課題あり。お待ちしています。

 

(M.H.)

訳書リスト13(61〜64冊目)

(64)『ぼくの中にある光』

 (カチャ・ベーレン作、岩波書店、2024年11月15日初版発行)

 "The Light in Everything" (2023、by Katya Balen)

 イギリス、自分探し・家族


〈オビ語録〉

「家族になること。自分の心に耳をすませること。不器用なふたりが見つけた、それぞれの勇気と希望。注目作家が描く11歳の心。」

「シドニー・スミス装画、『ぼくは川にように話す』『おばあちゃんのにわ』など」

「不安やいらだちが勇気に変わるとき」

「トムはまた紙を手にとり、日本では、折り紙のツルを千羽折ると神様が願いをかなえてくれる、って言われてるんだ、と言った。そしてきびきびと迷いなく手を動かして、次のツルを折りはじめた。
 折り方を教えて、とわたしは言った。 ──本文より」

「嵐のような心を持てあますゾフィア。暗がりや大きな音が苦手なトム。とつぜん「家族」になったふたりは、おたがいを受けいれられなくて……
 やさしさとは、勇敢さとはなにかと問う、カーネギー賞最終候補作。」

 

 挿画はシドニー・スミスさん、編集は三輪侑紀子さん、翻訳協力・章見出しデザインは安達妙香さん、印刷は三秀舎さん、カバーは半七印刷さん、製本は松岳社さんです。

 

 みなさん、ありがとうございました!

(M.H.)

 

 

(63)『バーナビー まいごに なる!』

 (ファン・ブラザーズ 文・絵、Gakken、2024年9月17日初版発行)

 "Barnaby Unboxed!"(2024、by Terry Fan, Eric Fan and Devin Fan)

 カナダ、絵本

 

 

 編集は木村真さん、ブックデザインは相馬章宏(コンコルド)さん、印刷はTOPPANクロレさん、製本は難波製本さんです。

 ありがとうございました!

 

(M.H.)

 

 

(62)『ねえ、おぼえてる?』

 (シドニー・スミス 文・絵、偕成社、2024年4月10日初版発行)

 "Do You Remember?"(2023、by Sydney Smith)

 カナダ、家族、絵本

 

 

〈オビ語録〉

「世界で注目される絵本作家が描く、思い出をめぐる家族の物語」

 

 編集は広松健児さん、ブックデザインはアルビレオさん、日本語版タイトル文字はシドニー・スミスさん自ら描いてくれました! 印刷は小宮山印刷さん、製本は難波製本さんです。

 ありがとうございました!

 

(M.H.)

 

 

(61)『クロスオーバー』

 (クワミ・アレグザンダー作、岩波書店 STAMP BOOKS、2023年7月12日初版発行)

 "The Crossover"(2014、by Kwame Alexander)

 アメリカ、家族・バスケットボール・詩物語

 

〈オビ語録〉

「思ったんだ、おれにもいつか、空を飛ぶための翼が必要だって。」

「世界で200万部超。ニューベリー賞受賞、コレッタ・スコット・キング賞オナー作品。

「JBが山なりのパスを出し、おれは小型ジェット機みたいにジャンプして──

 まあ、ふつうは7年生でダンクなんてできるわけがない、

 そう、思うだろ?

 おれは空中でボールをパッとつかみ、ダンク!」(本文より)

 

 装画は一乗ひかるさん、翻訳協力は澤田亜沙美さん、編集は三輪侑紀子さん、印刷製本は法令印刷さんです。ありがとうございました!

 

(M.H.)

 

カチャ・ベーレン4作品、紹介フリーペーパー

 ここのところ連続して紹介してきた、カチャ・ベーレンの訳書4作品ですが、それぞれの版元、あすなろ書房、岩波書店、評論社が協力して、「三社合同、カチャ・ベーレン作品、おすすめ! フリーペーパー」を製作しました。

 A4サイズを四つ折りにしたもので、4作品の書影と訳者による紹介文、ベーレンさんからのメッセージと写真、訳者3人の略歴が載ってます。

 うちにもおきたいという書店さんは、ぜひ、岩波書店の営業担当さんへご連絡を。また、このブログのお問い合わせ先にメールいただければ、とりつぎます。

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JBBY50周年記念シンポジウム&祝う会

 昨日は神田の出版クラブビルで、JBBY(日本国際児童図書評議会)のシンポジウムと、50周年を祝う会がありました。2時からのシンポジウム「いま、子どもの本へ世界とどうかかわるのか」では、世界で活躍している作家・画家のみなさんからのビデオメッセージにつづいて、岩瀬成子さん、長倉洋海さん、さくまゆみこさんのトーク。

 ビデオメッセージはとても豪華なメンバーで、デイヴィッド・アーモンドから始まり、ジャクリーン・ウッドソン、ピーター・シス、ラフィク・シャミ……、最後にエミリー・ロッダさん。ピーター・シスさんが、日本語版の『星の使者』をめくりながらお話ししてくださって、とてもうれしかった。ただ、やはり、ウクライナ、ガザのことについて触れる方が多く、気が重くなりましたが、子どもの本の意義についても再確認できました。

 つづく岩瀬さん、長倉さん、さくまさんのトークもよかった。世界中で子どもたちの写真を撮ってきた長倉さんの話は、毎日活字やパソコンとにらめっこしてばかりの自分にとっては大変刺激的でした。

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カチャ・ベーレン、『ぼくの中にある光』

 ベーレン作品の日本語版4冊目は、拙訳、岩波書店刊、『ぼくの中にある光』(原題 "The Light in Everything" )です。11月15日発売、とご案内してましたが、15日は発行日で、発売日は19日(火)らしいです。もうしわけない。発行と発売がちがうのは、なぜ、と思いますが、ときどき逆に発売日が先のこともある。

 

 早く読みたい方は、岩波のこちらのページから、冒頭十数ページが読めます。

 https://www.iwanami.co.jp/book/b653989.html

 カバー絵はシドニー・スミスさん。原書ハードカバーの表紙は、タイトルの箔押しが効いていますが、色合いや空がせまいことで、シリアスな内容を予想させます。日本語版は格段に明るくなって、希望が感じられるカバーになりました。よかった。左右反転しているのは、絵が背表紙から裏につながっているため、英日でページの送りがちがうのでこうなりました。

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カチャ・ベーレン、『ぼくたちは宇宙のなかで』

 カチャ・ベーレン作品紹介第3弾は、先週発売されたばかりの『ぼくたちは宇宙のなかで』(原題 "The Space We're In" )。評論社から、こだまともこさんの翻訳で。

 なんて魅力的なカバーなんでしょう。日本語版の装画は嶽まいこさん、本の装画をたくさん手がけていらっしゃいます。原作の表紙はローラ・カーリン。味のある絵を描く人で、探したらうちにも2冊、

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カチャ・ベーレン、『ブラックバードの歌』

 カチャ・ベーレン作品紹介、第2弾。

『ブラックバードの歌』は千葉茂樹さん訳、あすなろ書房から、昨年の10月に出ています。

 原題は "Birdsong" 、リチャード・ジョンソンの挿絵が入っています。日本語版は、千葉さんの訳に、鈴木まもるさんの挿絵。100ページちょっとの短めのお話ですが、とてもいい造りの本です。鈴木まもるさん、数々の絵本を手がけていますし、鳥の観察もしている方なのでぴったりですね。鈴木さんのHPは鳥のことでいっぱいです。

https://mamorusuzuki.wixsite.com/nestlabo

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古典児童書を読む会、宮沢賢治『どんぐりと山ねこ』ほか

 川越の絵本カフェ『イングリッシュ・ブルーベル』さんで、古典児童書を読む会がありました。いつもは翻訳物を読むのですが、今回は宮沢賢治の「どんぐりと山ねこ」。岩波少年文庫の『注文の多い料理店』が指定だったのですが、うまく借りられず、世界文化社から2022年に出ている、100年読み継がれる名作シリーズを借りてきました。このシリーズ、ほかに新見南吉や椋鳩十、小川未明などがあるのですが、既刊のうち3巻が宮沢賢治です。ゆったりした版組に日下明さんのイラストがたくさん入っています。

 

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カチャ・ベーレン、『わたしの名前はオクトーバー』

 というわけで(承前)、カチャ・ベーレン作品の紹介です。

『わたしの名前はオクトーバー』(こだまとこも訳、評論社)。原題は "October, October"。2022年のカーネギー賞受賞作です。最初に原題を見た時、変わったタイトルだな、これはなにかあるぞ(?)と思ってとりよせました。

 原書の表紙はアンジェラ・ハーディングというイギリスの画家(版画家)ですね。HPがとても充実しているので、ぜひのぞいてみてください。イングランドの自然をテーマに作品を作っています。タイトル部分はうまく写せてませんが、赤銅色の箔押しです。きれい。

https://angelaharding.co.uk/

 

 オクトーバー、というのは変わっていますが、主人公の11歳の女の子の名前です。エイプリルとか、ジューンとかは聞いたことあるけれど、セプテンバーやオクトーバーという名前は聞いたことがない。オクタヴィアヌス、とかいうローマの皇帝がいた気がするけれど……。

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『ぼくの中にある光』、書影出ました!

『ぼくの中にある光』の書影が出ました。

 先日アップした原書より、絵がちゃんと見えて、広がりのある画面になっています。最初に見せてもらった時、タイトルや推薦文の処理でこんなに印象が変わるのか、と驚きました。日本語版のほうが、シドニー・スミスさんの絵の良さがうまく出ていると思います。シドニーさん、光とか波とかを描かせたら右に出る人はいませんね。色も明るくしてあって、タイトルにふさわしい。

 

 岩波書店の紹介ページはこちら。

https://www.iwanami.co.jp/book/b653989.html

「嵐のような心を持てあますゾフィア。暗がりや大きな音が苦手なトム。それぞれ親ひとり子ひとりの生活が気に入っていたのに、ゾフィアの父親とトムの母親が恋人になったことから、家族としての新しい暮らしがはじまった。互いを受け入れられないふたりは……。優しさとは、勇敢さとはなにか。注目作家が描く11歳の心。」

 

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