翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

「翻訳者、豊崎由美と読んで書く」vol.1

 書評家の豊崎由美さんと翻訳者たちが、翻訳文学を読んで書評を書き、その書評を相互採点し、語り合うという書評講座の記録です。講座を企画した新田享子さんや、運営やこのユニークな書評集の作成に携わっている翻訳者のうちの何人かが、ふだん勉強会でご一緒している縁で、創刊号をいただきました。

 おもしろい!

 100ページほどの本ですが、実際の書評と、それに対して豊崎さんとメンバーが語る対談記録、あいだにメンバーのコラムがはさまっていて、外国文学と翻訳と書評への愛があふれる興味深い読み物になっています。翻訳や書評にそれほど関心がない方にとっても、文学好きなら読みどころが満載。

 とりあげられている作品は、『ハムネット』、『掃除婦のための手引書 ルシア・ベルリン作品集』、『朗読者』、『喜べ、幸いなる魂よ』、『フォレスト・ダーク』……などなど。

 

 わたしはこのレベルの書評はたぶん書いたことがない。紹介文がせいぜい。クライマックスや結末を書かずにその本の良さを伝え、なおかつ、まだ読んでない人が読みたくなる文章を書くのは至難の技……。どこをどう切り取り、どう関連付け、あるいは興味を引き、時には宙ぶらりんのまま読者を誘いこむのか。豊崎さんとメンバーとのやりとりが会話モードで楽しいです。

 読みながら、原書のレジュメ書きとだいぶちがうなあ、と思いました。ぜんぜんちがう。レジュメなら何本書いたかわからないくらい書いてるし、読んで人に勧める文章という意味では同じなのに。

 

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 目次です。許可をいただいています。

 

(M.H.)