翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

父を送って

 先月末に父が亡くなりました。93歳でした。

 このことに何もふれずにブログを続けることができず、しばらく投稿していませんでした。ただ、父にまつわることを書きはじめると、それは、長文の、しかも読者のみなさんには何の関係もない内容になってしまうので、去年の記事を再録することにしました。

 あとのことをきちんと指示して逝きました。見習いたいです。

 秋には、父の生まれた京都の墓地に遺骨を納めにいきます。

 

 以下は、去年、2016年の1月11日の記事です。

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 昨日は、京都生まれで本好きの父に、京都の写真集と「BOOKMARK」をプレゼントにもっていきました。

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 大正生まれの父は、先週、92歳の誕生日を迎えました。大きな手術もしましたが、今は藤沢で母とまずまず元気に暮らしています。

 京都で生まれ、京都の会社に就職した父は、転勤してきた神奈川の平塚で母と社内結婚しました。平塚で生まれ育ったわたし自身は、会社に入って配属された愛媛の新居浜(にいはま)で、家内と社内結婚しました。

 新居浜でひらいたわたしの結婚披露宴のスピーチで、父は徴兵されて終戦の日を迎えたのが、まさにこの新居浜の地だったのだ、と明かしました。初めて聞く話にびっくりしたことを憶えています。

 

 土地の縁というのはつくづく不思議なもの。というわけで、わたしは平塚生まれ、本籍は新居浜、墓は京都にあり、今は埼玉暮らしです。朝、父の家に行く前に都内の息子のアパートに寄ってきました。彼はこの先、どこに住むのやら……。

 

 帰り際、脚の運動だと言って、父はマンションの5階からサンダルばきで階段をおり、バス停まで見送ってくれました。やるぜ、Over 90 ! まだまだ大丈夫だ。

(M.H.) 

京都雪景色 (SUIKO BOOKS 168)