翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

世界の翻訳者仲間たち

 先日、IBBY(国際児童図書評議会)より、2016年のオナーリストカタログが届きました。2年に一度、加盟各国から推薦される作家、画家、翻訳家です。ありがたいことに、今回、わたしもJBBYから推薦していただいたので、このカタログが郵送されてきたというわけです。

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 いずれ、リストは、IBBYのホームページに掲載されるそうですが、せっかくですから、世界の子どもの本の翻訳者仲間を、何人か紹介してみたいと思います。

 

 まずは、わたしの紹介のお隣に載っている、韓国の翻訳者さん。

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 Ko Hyang-ok さんです。国名アルファベット順なので、J(Japan)、K(Korea)なんでしょうね。そして、対象作品(翻訳者の場合は今までの全業績が対象なのですが、とりあえず、直近の代表作があがっています)が日本語の原作からの翻訳です。

 

 原作は、丘修三さんの『ラブレター物語』。

ラブレター物語 (Green Books)

ラブレター物語 (Green Books)

 

 Ko さんの経歴を見ると、日本の児童文学を専門に翻訳している女性の方だそうです。大学で日本文学を専攻し、来日して、名古屋で日本語・日本文学を学んだとのこと。カタログの紹介文によると、丘修三さんの、ハンディキャップを負った子どもたちの物語は、韓国で広く読まれているそうです。Ko さん、ほかにも多くの子どもの本を翻訳されていて、繊細で、子どもにもわかりやすい訳文が高く評価されているとのこと。

 なんだか、隣に日本語の本を翻訳している韓国の翻訳者さんが載っているのがうれしい。

 

 さらに、その右隣に見えているのが、J、K、Lで、ラトヴィアの翻訳者さん。Mudite Treimane さんです。対象となった作品は、スウェーデンの作家、Henrika Andersson の作品。

 Treimane さんは、やはり女性で、1948年生まれ、ラトヴィア大学卒業後、国立図書館勤務の傍ら、スウェーデン、ノルウェイ、デンマーク語の作品をラトヴィア語に翻訳してきたそうです。中でも、リンドグレーン作品を16冊、トーヴェ・ヤンソン作品を8冊翻訳しているとのこと。北欧の3ヶ国語と、バルト三国の言語は近いんだろうか? それさえよくわかりません。

 

 ぱらぱらとカタログをめくって見ていると、翻訳という縦糸に、子どもの本という横糸がからんで、世界中に仲間ができたような気がして、とても心強く思いました。

(M.H.)