翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

読者に負担をかける時 ── 翻訳勉強会(3−2)

 月曜日の翻訳勉強会は、ロバート・コーミアのコラム集の2回目にして終わりの回。前回は、ペアを組んだ相手が訳すものは原文を見ないで訳文だけをチェックし、意見交換したので、今回はその見直し版をみんなで検討しました。

I Have Words to Spend: Reflections of a Small-Town Editor 

 また、いくつも課題が見つかりましたが、その中のひとつを。それは、予想される読者に応じた「解説訳」の問題です。

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寒波

 ここ数日来の寒さで風邪をひきました。土曜、日曜は微熱。生まれて初めて「冷えピタ」なるものを額に貼ってみましたが、これ、いいですねえ。おかげで日曜日はけっこう仕事がはかどりました。こういう時は、あとで見直すとボロボロということもあるので、油断はできませんが……。

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第3回日本翻訳大賞、推薦受けつけ始まってます。

 今年、三度目を迎える日本翻訳大賞ですが、すでに推薦受けつけが始まっています。どなたでも推薦できますので、これを読んだみなさんもぜひ!

【 日本翻訳大賞公式HP 】

【 推薦はこちら | 日本翻訳大賞公式HP 】

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(昨年の受賞作の一つ、『ムシェ、小さな英雄の物語』)

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今日、ママンが……。

 訳しはじめた小説は、なかなか語り口が定まらなくて困っています。原文は三人称で書かれています。今までも三人称の作品はたくさん訳していますが、そのほとんどが主人公視点でした。主人公が子どもで視点がその子にある時は、会話だけでなく地の文でも使える言葉が制限されます。たとえば7歳の男の子が主人公なら、情景描写もそれなりの語彙の範囲で処理するように注意を払うわけです。

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箱根駅伝、のち初詣

 育ったのが平塚中継所まで歩いて五分ほどのところだったので、幼いころはよく、あの海沿いの国道134号線の花水川にかかる橋のたもとへ応援に行っていました。箱根駅伝、いいですねえ。高校生の時には、あの復路の6区、7区の区間、芦ノ湖から平塚まで、冬の真夜中に歩いて降りてきた思い出もあります。寒いし、疲れるしで、むちゃくちゃしんどかったのを憶えています。

風が強く吹いている (新潮文庫)

 箱根駅伝といえば、この小説、『風が強く吹いている』、いわゆる「かぜつよ」ですね。読んでない方は、ぜひ! 泣けます。とくに、わたしのように70年代から80年代に東京の下宿で大学生活を送った人間には、ツボですよ。

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