柏の子どもの本の店、『ハックルベリーブックス』( http://www.huckleberrybooks.jp )でひらかれた読書会に行ってきました。
課題本は『孤児列車』と、
拙訳『スピリットベアにふれた島』。
スピリットベアにふれた島 (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)
- 作者: ベンマイケルセン,Ben Mikaelsen,原田勝
- 出版社/メーカー: 鈴木出版
- 発売日: 2010/09
- メディア: ハードカバー
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自分の翻訳した本をテーマにした読書会というのは初めてなので、興味津々で出かけていきました。(『孤児列車』は読めませんでした。ごめんなさい。)
この読書会は里親さんたちによる会ということもあり、自然と、親子の関係や、地域社会や司法制度による子どもへのアプローチといった視点が基本にありました。『スピリットベア……』の主人公は、友達への傷害事件を起こし、地域住民を巻きこんだ「サークル・ジャスティス(サークル・センテンスィング)」という司法制度によって、更生のために無人島に送られてサバイバル生活を送ることになります。読書会では、こうした制度の可能性や、サークル・ジャスティスの発想のもととなっているインディアンやアボリジニの話、自然と触れ合うことの意味など、さまざまな話が出ました。会を主催されている全国里親会のKさんの話が興味深く、アボリジニの人々との交流の話や、ヴィジョン・クェストの体験なども聞かせていただきました。
そんな中で、とてもうれしかったのは、出席者のお一人が、課題図書になっていたということもあって、中学生だった息子さんにこの本をわたしたところ、息子さんは夏休みに読んで感想文を書いただけでなく、その後、人が変わったように受験勉強に励んで、今は大学の法学部に通っているという話をしてくださったことでした。涙が出そうになるほどうれしい話でした。
大げさに言えば、本が、タイミングしだいで人生を変えるきっかけになることを改めて感じました。そして、その話に続いて、そういう時のためにも、「本が読める子」になっていてほしいよねえ、という声があがり、そうだなあ、と思ったしだいです。
帰りの列車の中では、Kさんから、里親のことを少しですが教えてもらって、もっとこのことに関心をもたなければいけないと感じました。ハックルベリーブックスの奥山さん、里親会のみなさま、ありがとうございました。また、機会があれば参加したいと思います。
『スピリットベアにふれた島』については、以前、コラムの中で、言葉の多義性と翻訳をテーマに書いた記事がありますので、以下に引用しておきます。
(M.H.)