翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

『キャパとゲルダ』読書感想文の課題図書に。

『キャパとゲルダ ふたりの戦場カメラマン』が、読書感想文全国コンクールの課題図書になりました。高校の部のノンフィクションです。

  この本は、高校生でも、かなり歯ごたえがあると思いますが、キャパとゲルダ、二人の想いや行動を知って、若い人がいろいろなことを感じてもらえるだけで訳者は幸せです。

f:id:haradamasaru:20200606112552j:plain

 

 課題図書の一覧はこちらを参照してください。

www.dokusyokansoubun.jp

   

 自分自身は、夏休みの感想文の宿題はだいっきらいでしたが、今思うとあれは、もっともらしいことを起承転結考えて、適宜、引用しながら書くのが苦痛だったのでしょう。

 なので、学校の先生や保護者の方にぜひお願いしたいのは、書き方に制約を加えないでほしいということ。ある一場面のことだけ書くとか、舞台になった国のことを書くとか、何ページの挿絵のあそこがおかしいとか、そういうことを書いてもいいんだよと言ってほしい。たぶん、そういう感想文は学校代表とかに選ばれないと思うけど、そんなのぜんぜんかまわないから。

 昔、ある自治体の課題図書に自分の訳書が選ばれていて、その優秀作の発表会に招かれていったことがありますが、発表した中で一番おもしろい感想を書いた子は、感じたことをストレートに出していて、読み上げる時もとても自然で力強かったのですが、評価は低かったようです。わたしはあの子の感想文を最優秀賞にしたかった。だって、最優秀賞の感想文は、先生に受けそうな無難でありきたりの内容で、ほんとにきみ、そう思ったの、と思わず言いたくなってしまったから。(もちろん、そんなこと言わなかったけど。)

 そうは言いながら、全国レベルの優秀賞に選ばれる感想文は、ほんとうにレベルが高くて、まとまりの良さだけでなく、独自の視点や書いた人個人の経験が生きている文章が多く、これはこれで驚かされるのですが……。

 

 というわけで、原田の訳書の今まで課題図書になったものをならべておきます。どこの図書館にもあるはずなので、読んでみてください。課題図書だからつまらない、なんてことはまったくないです。そこは保証します。

『スピリットベアにふれた島』(ベン・マイケルセン作、鈴木出版、中学)
『フェリックスとゼルダ』(モーリス・グライツマン作、あすなろ書房、中学)
『ハーレムの闘う本屋』(ヴォーンダ・ミショー・ネルソン作、あすなろ書房、高校)

 

 ついでに、読書感想画の課題図書も。

『秘密のマシン、アクイラ』(アンドリュー・ノリス作、あすなろ書房、小学高学年)
『大地のランナー』(ジェイムズ・リオーダン作、鈴木出版、中高)
『ヒトラーと暮らした少年』(ジョン・ボイン作、あすなろ書房、中高)

 

 表彰式はたぶん、2月とかにあるのですが、今年はできなかったんじゃないかな。来年は開けるといいんですが。感想文を書いてくれた中高生に会えるのはとても楽しいんです。コロナが収束していますように。

 

(M.H.)