翻訳者の部屋から

児童書・YA翻訳者、原田勝のブログ

JBBY選「おすすめ! 世界の子どもの本 2020」

 JBBY(日本国際児童図書評議会)のブックリスト「おすすめ! 世界の子どもの本 2020」が送られてきました。日本で出版された翻訳児童書のなかから、日本の子どもたちに読んでもらいたい作品を選んだものです。

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  絵本、読みもの、ノンフィクションの3部門で、うれしいことに原田の訳書が4冊入っています。

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 絵本では、
『夜のあいだに』(テリー・ファン、エリック・ファン作、ゴブリン書房)

 読みものでは、
『ブライアーヒルの秘密の馬』(メガン・シェパード作、リーヴァイ・ピンフォールド絵、澤田亜沙美共訳、小峰書店)

『夢見る人』(パム・ムニョス・ライアン作、ピーター・シス絵、岩波書店)

 ノンフィクションでは、
『キャパとゲルダ ふたりの戦場カメラマン』(マーク・アロンソン、マリナ・ブドーズ作、あすなろ書房)

 です。『夢見る人』をのぞく3作は自分のもちこみなので、いっそううれしい。

 

 

 このブックリストがほしい方は、下のリンクからJBBYにお問い合わせください。どうぞよろしく。絵本17冊、読みもの34冊、ノンフィクション17冊がリストアップされ、書影と紹介文が載っています。

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 1ページだけ写真載せちゃいます。こんな感じ。ロシアの作家、オレイニコフの『ちいさなタグボートのバラード』も載っていますねえ。オレイニコフの絵は独特の美しさですよ。原書を見せてもらったことがあります。(翻訳の沼野恭子さんは、じつは大学の同期です。)

 翻訳家エッセイは、斎藤倫子さん(じつは、バベルの金原教室の先輩で同級生です)、オランダ語の西村由美さん(『二つの旅の終わりに』では助けてもらいました)です。

 巻末の特集記事はジャクリーン・ウッドソン。日本での紹介につとめている、JBBY会長のさくまゆみこさんがくわしく紹介しています。この記事はウッドソンファンは必読でしょう。じつは、昨年から今年にかけて、フェローアカデミーの通信講座の課題でウッドソンの短編をあつかったのですが、さくまさんが、「リリカルな文体」と分析していらっしゃるように、簡単そうで、翻訳はむずかしかったです。詩の形態はとっていませんが、主人公の語りがポツリポツリという感じで、詩的でした。昨年、国際アンデルセン賞を受賞されましたが、黒人やLGBTQの視点が鋭いだけでなく、やはり文学としての完成度が高いからこそなのだろうと改めて思いました。ウッドソンさんのご自宅を訪れてお話をうかがったことがあるという、さくまさんならではの充実の作家評が読めます。

 

 JBBYから直接入手できますので、くわしくはこちらを。↓

2020年版「おすすめ!世界の子どもの本」ができました | JBBY

 

 

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(M.H.)